三浦市消防団でこのほど、市内初となる女性団員が誕生した。4月1日付で辞令交付を受けたのは、菊名在住の大隅彩子さん(37)。今後、研修を経て消火活動や後方支援、操法大会などに参加。「役立てるよう頑張りたい」と話す。市防災課は「市内女性団員の第一人者として大いに活躍してほしい」と加入促進のロールモデルに期待を寄せている。
大隅さんが消防団の存在を知ったのは、かつて長野県の農家に住み込みで働いていたときのこと。勤務先の家族が団員だったことで、憧れを抱いたという。「法被(はっぴ)を着ている姿が格好いいなと思って。でも、そのときは女性が入れるとは知らなかった」。当初は地域の若い男性がなるものという漠然とした認識で、その思いは胸中に秘めたままだった。
4年ほど前に三浦市へ移住。のちに知り合った仲の良い地元の友人もまた消防団員だった。気兼ねない会話のなかで「入ってみたい」との意思を伝えると、意外にも難なく入団を取り計らってくれることに。晴れて先月の辞令交付式で仲間入りを果たした。
仲間づくりに喜び
所属する第7分団は、上宮田地域を管轄。農家や会社員など約20人が活動し、有事に備える。普段はスポーツインストラクターとして働く大隅さん。地域防災への貢献を通じたやりがいだけでなく、さまざまな年齢や職業の知り合いが増えたことも喜びのひとつだと笑顔で語った。
「災害による被害を最小限にしたい」。仕事柄、AEDなど救急救命の心得もあり、いつ来るとも知れない出動への気後れはないという。消防団長の秋本清道さんも「女性ならではの視点を大事に、長く活躍してほしい」と歓迎する。
念願だった消防団の証である真新しい活動服に袖を通すと「ちょっと気恥ずかしいけれど、責任感が湧いてきた。市内初と気負わず、いち消防団員として出来ることをやりたい」と表情を引き締めた。
全国に2万5千人
昨今では全国的に団員減少が叫ばれているが、女性団員数は年々増加傾向にある。消防庁の統計によると、1990年の1923人から20年間で10倍の1万9043人(2010年)を突破。昨年には約2万5千人まで増えている。
近隣の横須賀市では、一昨年に女性消防隊「はまゆう隊」が発足。入団促進や火災予防の広報、避難所などでの同性からの相談対応といった任務を担う。また、葉山町では昨年から消防団活動に取り組む大学生らを対象に証明書を交付する「学生消防団活動認証制度」を三浦半島内で初めて導入。積極的な若手消防団員確保に取り組んでいる。
4月1日現在、三浦市消防団の団員数は221人(条例定員225人)。
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