コロナ禍で中止されていた「海南神社夏例大祭」が7月15日(土)・16日(日)、4年ぶりに挙行される。三崎下町の7地区が持ち回りする年番は「獅子番」を入船、「神輿番」を花暮が担当。住民らは木遣りに合わせた夜間練習を開始しており、港町に夏の訪れを告げる祭りの準備に余念がない。
三崎地区で江戸時代から続く祭礼。当初は海上神事だったが、明治中期に町内を渡御する現在の形となった。1992年に市重要無形民俗文化財に指定された「行道(お練り)獅子」を先導に、神輿や山車が下町一帯を2日かけて巡行。雄雌2頭の獅子が神輿と共に、木遣り師の唄に受け声を出しながら練り歩くことで災いを祓い、家内安全や商売繁盛を願う。獅子や神輿などを務める地区が毎年交代する輪番制度(年番)が約130年守られているのも特徴だ。
「獅子番」は入船「神輿番」は花暮
夕闇が空をぼかし始めた6月10日午後6時30分すぎ。神輿を担ぐ練習の初日で、花暮会館前には予定時刻より早く到着した多くの人たちが「今か、今か」と言わんばかりに肩を回して待っていた。花暮の住民だけでなく、仲崎や西海上から訪れた”助っ人”もいた。
神輿番をまとめる総頭を務めるのは2人おり、「まるいち食堂」店主の松本英さんと「咲乃家」店主の角山肇さん。冒頭の挨拶で松本さんは「憧れだった立場になり身が引き締まる思い。皆の全力を貸してほしい」と呼び掛け、角山さんは「地域の人間が一つになれるように、しっかりと全うしたい」と気合十分だ。
その後、すでに組まれていた神輿を担いで出発。木遣りへの受けや道幅などを確認しながら、下町を移動した。商店の入口で方向転換し、高々と神輿をさすと、担ぎ手の「おいさ、おいさ」という勇ましい声が闇に響いた。練習は毎週土曜、7月7日まで行われる。
獅子番の夜間練習は、6月17日から始まった。舞い方や駆け方など、動作を念入りに確かめながら火・木・土曜の11日間、最後の3日間は海南神社で実施するという。
練習初日の昼には、住民らが入船会館に集まり、獅子の毛になる木の皮を編み、それを布に縫い付ける針仕事に精を出した。獅子係長の板倉弘さんたちベテランが指導する中、若い世代が繊細な作業に集中した。「本年番」とも呼ばれる大役の総頭を担う「スリープハウスおおたに」代表の大谷謙二郎さんは「明るく楽しく元気よくやり遂げたい」と意気込んだ。
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