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三浦版 公開:2024年1月1日 エリアトップへ

経済や子育て施策前進へ 新春市長インタビュー

政治

公開:2024年1月1日

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本紙の取材に応じる吉田市長
本紙の取材に応じる吉田市長

 本紙は年頭にあたり、吉田英男三浦市長に新春インタビューを行った。コロナ5類移行に伴い、スポーツや文化、観光にまつわる数多くのイベントが再開した昨年。好影響が生まれた市内経済をさらに活性化させるための今後の取り組みや重点施策、市政運営などについて尋ねた。(聞き手/編集長・磯谷拓)

 

 ――昨年はイベントの復活や三浦海岸の海水浴場も開設されました。経済・観光面での効果は。

 観光行事については、「道寸まつり」「三崎港町まつり」「三浦海岸花火大会」などが開かれました。海水浴場は、三浦海岸、荒井浜、和田の3カ所で開かれ、利用者数は市内合計で約11万人。市内経済に好影響を与えたと認識しています。

 ただコロナ禍前と比べると、観光客数が完全に回復したとは言えないのが課題。2月5日(月)からは今年で20回目を迎える「三浦海岸桜まつり」、その最終日となる3月3日(日)には「三浦国際市民マラソン」が予定されており、こうしたイベントをきっかけに、市外に住む多くの方々を三浦市に迎え入れる準備をこれからも進めていきます。

 ――「海業元年」と位置づけた昨年。夏には「海業フェスタ」も開かれました。手応えは。

 昨年7月に本市海業推進の中心的施設「うらり」で開催したフェスには、約8600人の方々が訪れました。また9月には、自民党水産総合調査会の石破茂会長、同会海業振興勉強会の小泉進次郎座長ら9人の国会議員が市内を訪れ、海業について地元関係者と意見交換を行いました。本市海業の取り組みについての視察も、二町谷地区埋立地で進行中の海業プロジェクトを中心に増えてきており、関心の高まりを実感しています。

 海業プロジェクトでは、ブランディングイベントの開催、トレーラーハウスを活用したゲリラレストランの試行などを進めています。加えて、三崎漁港新港地区などを事業範囲とする新しい海業プロジェクトによる三崎漁港の魅力づくりも始動させました。

 今後は三崎漁港のみならず、市営漁港においても地元漁業者と協力しながら、漁港の利活用による海業の取り組みを公民連携により推進し、漁港の活性化、漁業者の所得向上、新たな産業や雇用の創出を図っていきたいと考えています。

 ――市が昨年実施した物価高騰への対応は。

 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用し、三浦市観光協会に「みうらおもてなしクーポン」の発行に要する補助金を交付しました。販売開始から2週間ほどで完売しました。

 また、子育て世帯に対する経済支援では、学校給食費の半額免除をしました。保護者から感謝の声もいただき、物価高騰対応の一助になったと思います。今年も同様の免除など市民生活に有効な施策を行っていきます。

 ――「神奈川版ライドシェア」の実現に向けた市のスタンスは。

 市は、県が主催者である「神奈川版ライドシェア検討会議」の構成員として話し合いを重ねていきます。まずは現行制度のもと、市が実施主体となって実証実験を行う予定ですので、県と協力して進めていきます。

 関係者との協力については、市民のニーズにマッチし、さらにタクシー事業者にとってもメリットを得られる制度設計が図れるよう、互いの知恵を出し合っていきたいと考えています。

まちづくり本格化 新たな人の流れに期待

 ――引橋の旧県立三崎高校跡地で進められている市役所移転を含む市民交流拠点整備事業の優先交渉権者に、スターツグループが選ばれました。進捗と今後の流れは。

 昨年7月に基本協定、9月に市役所等公共施設の建設工事(設計・施工一括)に関する契約を結びました。今年9月からの工事着手に向け、実施設計を進めています。

 本事業では、整備する施設全体のコンセプトを「異なる公共機能、官民の施設・機能を一体的にとらえ効率的に実現し、促進する仕組み・場づくり」としており、施設間の複合的な利用による交流促進を目指しています。市役所や図書館などの公共的機能と民間施設からなる市の中心地にふさわしい良好な市民交流拠点の形成に向けて取り組んでいきます。

 ――今年6月に供用開始を予定されている南下浦の子育て賃貸住宅ですが、どのような拠点にしていきたいですか。

 「三浦市に新しいひとの流れをつくる」というコンセプトのもと、子育て世帯が生活しやすい賃貸住宅と地域の活動拠点であるコミュニティセンターを併せて整備・運営することで、相乗的な効果によって多世代のコミュニティー形成が促進される拠点となることを目指しています。

 ――市は今年度中に勤労市民センターを廃止する方針を示していましたが、市民や議会からの存続を求める声を受け、市長は改修の検討をしていくと答弁されました。その経緯と今後の予定は。

 廃止の検討にあたり、利用者の皆さまに説明会を2度開き、代替施設について説明するとともにご意見を伺いました。各団体の活動の場や他団体との交流の場であることから存続を求めるご意見が多数あり、10月には陳情もいただきました。

 また市議会でも、地域のコミュニティー機能の確保などについて検討するよう、ご提案をいただきました。さらに三崎地区では、青少年会館や市役所第2分館の会合室、体育施設が利用できなくなったほか、今後は城山地区からの市役所移転も予定されており、コミュニティー機能の確保が課題となっています。

 これらを踏まえ、三崎地区のコミュニティー機能の核として改修することを来年度予算編成において検討しています。

 ――旧三崎中学校跡地等城山地区事業用地利活用プロジェクトの進捗は。

 旧三崎中学校教室棟や旧福祉会館などの城山地区事業用地の一部を三浦地所へ売却する契約が、昨年12月に議会の議決を経て成立しました。

 売却後の土地利用では、事業者によって宿泊施設や飲食施設などの整備を計画。新たな観光拠点が形成され、関係人口の創出、観光客の滞在時間延長、消費額の増加などが図られるとともに、三崎漁港や三崎下町との回遊性も向上し、地域の魅力がより一層高まると期待しています。

 ――剣崎小・南下浦小の統廃合が決定しました。また高円坊から初声小までスクールバスも運行しました。「学校教育ビジョン」の内容を含め、市長が思う市内の小中学校の理想像を聞かせてください。

 昨年2月に改訂した学校教育ビジョンの概要は「望ましい学級規模を確保することから段階的に学校再編を進める」「三浦らしさを生かした小中連携教育を段階的に推進し、学校体制を整備したうえで『小中一貫教育』の実施を目指す」また、「通学の安全確保のための方策を、学校再編とは別に開始する」としています。

 『段階的な学校再編』の最初の事例となる南下浦小と剣崎小の統合は、昨年策定した個別計画に基づき、新たな教育課程の検討、両校児童、教職員、PTAなどの事前交流にも取り組んでいます。子どもたちは、タブレットを活用したビデオレター交換や磯観察の合同授業といった交流で、仲良くなっていると聞いています。引き続き統合が楽しみになるような準備を進めていきます。

 来年3月には、剣崎小で最後の卒業式・修了式が行われます。今年は歴史ある剣崎小のフィナーレをどのように迎えるかを学校や地域とともに考え、みんなが閉校することを惜しみながらも笑顔でその日を迎えられるように、さまざまな企画を実行します。

 高円坊地区のスクールバスは、予定どおり昨年10月から運行が開始できました。保護者との意見交換も行っているところですが、「よかった」「安心で助かる」といった声をお聞きしています。今後も、利用者の声を反映させ、より充実したスクールバス運営を目指します。高円坊地区以外の遠距離を通学する小学校児童へは、バス通学定期代の補助も開始しており、こちらも保護者から喜ばれています。

 平成元年には約6千人いた小中学生も、現在約2千人まで大きく減少しています。こうした状況の中でも、児童生徒が学校での集団活動の中で多様な考えに触れ、認め、協力し合い、切磋琢磨することを通じて、個々の資質や能力を伸ばしていくということが望ましいと考えています。

 学校の在り方には色々なご意見があり、「これのみが正解である」といったことはないかもしれませんが、子どもたちのことを保護者や地域とともに考え、一つひとつ課題に取り組んでいきます。

 ――三浦市の人口は昨年12月時点で4万218人で、同年1月と比較すると623人減少。今年には4万人を切るペースです。市の人口増に向けた取り組みは。

 出生より死亡が多い自然減が続き、コロナ禍前は年間200人ほどの社会減(転出超過)もありましたが、2020年以降は20人弱となり、昨年は53人増に転じました。

 移住施策として相談窓口を設け、県主催のセミナーやイベントへの参加、講座開催など移住を考えている方に対して情報を発信しています。

 移住促進や子育て世帯の流出を防ぐため、こども政策に関する取り組みも不可欠。昨年10月、こども家庭庁が提唱する「こどもまんなか応援サポーター」に就任し、こども政策に対する具体的な取り組みを発信しています。新たな例としては、小児医療費を高校生まで拡大、保育園などに通う保護者や保育士の負担軽減のためのおむつ処分費の補助、子どもの養育に困難を抱える家庭へのヘルパー派遣による家事支援などがあります。

 市独自の取り組みに加え、国全体での子育て支援策が進められる中で、限られた予算と職員体制をどう配分していくかが今後の課題です。高齢者一人ひとりが元気で暮らしていただくことも大切であり、住み慣れた地域で自立した日常生活を送れるよう、健康寿命の延伸や通いの場を充実させるといった介護予防事業にも取り組んでいます。

 三浦海岸駅前に大規模マンションの建設が予定され、子育て賃貸住宅も入居が開始されます。新しい人の流れが生まれることが期待でき、これに対応した移住、子育て、高齢者支援に取り組み、人口増、地域の活性化につなげていきたいです。

 ――来年度の予算編成や重点政策については。

 予算は、今まさに精査中です。市税はやや増加で見込んでおり、財源確保はふるさと納税をはじめ、継続的に取り組んでいます。歳出では、小児医療費助成事業など子どもに関する施策を引き続き充実させたいと思っています。介護保険事業など繰出金も増加傾向で、財源不足が生じる部分については基金からの繰入金で調整する予定です。

 重点政策は、二町谷事業(海業の取り組み)、市民交流拠点整備、子育て賃貸住宅、城山地区利活用プロジェクト、ゼロカーボンシティ推進事業のほか、あったかい子育て支援に取り組むことを考えています。

 ――昨年の市議会選挙では、若い人材も当選しました。期待することは。

 議員13人のうち、4人が新たに議員(新人3人、元職1人)となられました。新たな視点でご意見をいただきながら、お互いに市民に開かれた議論を重ね、市民にとって住みよいまちづくりに取り組んでいきます。

 ――最後に市民にメッセージをお願いします。

 本年も「三浦市は、人よし、食よし、気分よし」をキャッチフレーズに、どなたからも「あったかいまち」と感じていただけるよう、さらなる前進を目指します。皆さまの笑顔が絶えない1年になることを祈念いたしまして、新年のあいさつとさせていただきます。

市役所移転を含む市民交流拠点整備事業が進められているベイシア三浦店隣に位置する旧県立三崎高校跡地(左奥)
市役所移転を含む市民交流拠点整備事業が進められているベイシア三浦店隣に位置する旧県立三崎高校跡地(左奥)

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