城ヶ島漁業協同組合がこのほど、全国漁業協同組合連合会が主催する「第22回全国青年・女性漁業者交流大会」で、最高位となる農林水産大臣賞を受賞した。2013年から同漁協で実施している食害生物の除去に関する先進的な取り組みと成果が評価され、県内団体では初めて同賞を獲得した。
今回表彰を受けたのは、城ヶ島漁業協同組合が取り組む「磯焼け」と呼ばれる藻場の消失・衰退防止と回復を目的とした保全活動について。同大会は全国の漁業者が日々の活動実績を発表し、知識・情報を共有することで産業や地域の活性化をめざすもの。今月1日・2日には22回大会が開かれ、全国各地の発表報告会で優勝した漁協などが5つの分科会に分かれてプレゼンテーションを行った。
藻場回復に一定効果
城ヶ島で磯焼けが顕著となったのは2008年前後。おもに島の西側で海藻の1種であるカジメが消失し、磯焼けの一因とされるウニの仲間のガンガゼの分布が見られた。その後、5年ほどで被害は島全域に拡大。ガンガゼ同様、藻類を餌とする魚「アイゴ」が漁師の刺網に大量にかかったこともあって、すぐさま駆除に乗り出した。城ヶ島では古くから豊かな磯根に恵まれ、ワカメ、ヒジキ、天草などのほか、藻場で育つアワビ、サザエ、イセエビといった魚介類が主力。磯焼けは産業衰退に直結する死活問題となるからだ。
2014年には漁協と城ヶ島ダイビングセンターによる藻場保全活動組織が発足。水産庁の交付金を得て、活動をスタートさせた。
従来から効率的な捕獲が難しいとされてきたアイゴには刺網を採用。日々の操業から漁師が適した漁具と漁場を選定し、網掛けするいわば”アイゴ漁”を行う。今年度までの3年間で総水揚量のおよそ7割を占める約1900尾の除去に成功した。また、ガンガゼは船上からの見突きとダイバーによる潜水で1個ずつ駆除。その数は1回あたり約4000個にのぼった。
県水産技術センターによると、こうした地道な活動により、藻場は徐々に回復傾向にあるといい、来年度以降も継続して取り組んでいく予定。
地域食材に活用
毒針や独得の臭いを持つアイゴ。漁獲後は陸上処分されているが、商品価値を生み出そうと相模女子大学などと連携し、製品開発を実施。商品化を視野に漁協直売所での試験販売を行いたいとしている。
横須賀市の西地区でもアイゴによる磯焼け被害が深刻で、漁師を悩ませる頭痛の種となっているが、棘や内臓をすぐに処理すれば美味しく食用できることから、一部飲食店では刺身や揚げ物、味噌漬けなどにして提供。干物を試作する水産加工業者もおり、新たな可能性が広がっている。
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