農業・漁業を志す三浦・横須賀市内の高校生が地元の生産現場や企業に赴き、実習を行っている。「実践的な経験を通して、知識と技術・技能を養う」ことを目的に、人材育成の場として期待されている。
農業―「産農人」生産と流通
三浦市にある県立三浦初声高校では、都市農業科2年生の齊藤輝(あきら)さんが、実習日に設定された毎週木曜日に、横須賀市内の畑に出向いて作業を手伝っている。これは、横須賀商工会議所が立ち上げた「産農人育成プロジェクト」の一環で、新しい世代の農業人材を育成しようと同校のほか、地元の若手農家と6次産業を手掛ける飲食店事業者などが連携。4月から実習を始めている。
「市場ニーズに合った作物を生産・流通させる”マーケットセンス”を養うことも必要な時代。消費者の意見に耳を傾けられる生産者になってほしい」と受け入れ先の鈴木優也さん(鈴也ファーム)。同校の板井時広教諭は「農作業の手法もそれぞれの農家で違う。現場に触れるのは大きな刺激」と期待する。
齊藤さんは、畑でとれた農作物を商品化する工程も見学。これらの体験を通して、就農はもちろん直売や商品化といった目標もできたという。卒業まで実習を続ける予定で、鈴木さんは「農業を楽しみたいという意欲が伝わってくる。実習での出会いや経験を大切にしてほしい」と話した。
水産業―海で働くプロ育てる
海洋関連の専門科を有する県立海洋科学高校では、今年度から「水産デュアルシステム」を新たに導入。短・中期的な職業体験とは異なる長期的な育成プログラムで、実践的な経験を通して技術や知識を身につける職業訓練の位置づけ。卒業後の就職を希望する3年生を対象に毎週水曜日、1年間実施していく。
生徒を受け入れるのは、趣旨に賛同した横須賀・三浦の協力企業3社。そのうち、三崎にある老舗まぐろ問屋「西松」では、蛭田壮(たけし)さんが水産加工業の最前線でその仕組みを学んでいる。地元出身ということもあり、特産のまぐろが消費者のもとへどのようにして届くのか興味があり、参加した。
また、漁撈機械などの修理販売を行う「丸石製作所」(三崎)では、川端秀乃介さんが船舶機械を中心とした整備技術を学ぶ。「船に関連する仕事に就きたい」との夢をめざし、進路決定のための情報や知識を増やしている。こうした生徒の意欲の高まりに、「学校と地域の企業で水産の担い手を育てることが非常に楽しみ」と同校の荻原佑介教諭は話している。
「デュアルシステム」は、国も2014年度から職業人の育成を目的に積極推進。全国の専門高校等で広まっている。
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