老朽化する空き蔵を改修し、活用する取り組みが三崎下町地区で進められている。「蔵プロジェクト」と題し、移住支援や遊休物件相談・観光案内などを手掛ける「合同会社ミサキステイル」のネットワークにより、会社事務所としてこのほど再生された。あす11月3日(土)には、一般へのお披露目会を開催。同社は「空いた家や店舗の活用方法の新たな提案ができたら」と今後の目標を話した。
石蔵は路地が入り組む三崎下町の仲崎地区に建っている。築年数はおよそ70〜80年で、長らく鉄工所の作業場や物置きとして使われてきたが、閉鎖後は手つかずの状態が続いた。建物は老朽化による傷みが激しく、外壁などが剥がれ落ちては、周辺住民から所有者や市役所へ苦情が相次いでいたという。
「なにかいい活用方法はないか」。蔵の向かいの古道具「ROJI」で私設移住相談窓口を開くミサキステイルの安原芳宣さんのもとに所有者が相談。同じくメンバーで不動産業を営む岩野孝一さんに声をかけ、知恵をしぼった。
活用方法を新提案
このまま野ざらしで朽ちさせるのか、さら地にするのか――。住宅街のなかに建ち、駐車スペースのない不便な立地。誰も使いたがらない、いわゆる“難あり物件”だったが、「古い蔵は三崎の風情のひとつ。一度壊してしまえば、もう二度と作れない」と岩野さん。昨年末に物件を買い受けると、建物再生に乗り出した。
地元の塗装店や左官職人らに協力を仰ぎ、今年3月から補修をスタート。傷んだ壁や屋根、床の張り替え、水回りの整備などを行い、このほど完成した。こだわりは鉄工所だった頃の面影を残し、古さをいかしてリノベーション。明るく生まれ変わった蔵は岩野さんが自社の事務所として使用する。
「汚い・古い・使い勝手が悪いといった理由で放置しなくて済むよう、この蔵が新たな改修・活用方法を伝えるモデルケースになれば」と話し、今後のプロジェクトへの意欲を述べた。
あす11月3日(土)、午後4時30分からお披露目の催しを開く。住所は三崎2の15の9。
”プレ農家体験”で知る
農家の仕事と野菜に親しむきっかけをつくり、三浦をもっと身近に感じて――。ミサキステイルは先月23日、「農家さん応援企画〜三浦の大根おろぬき体験」と題した体験イベントを市内毘沙門で初開催した。
着想は、農業へ関心を示す移住相談者の増加だった。意欲があっても市内での就農には農地取得などの一定条件があり、現時点では移住に直接結びつきにくい。そこで、本格的な農作業を体験することで、まずは実際の働き方や生活を知り、農家と交流を持ってもらおうと考えた。今回の体験は「大根のおろぬき」。膨大な間引き作業に1人でも多くの人手を必要とする地元農家と、希望者を繋げることに成功した。
この日参加したのは、新たなライフスタイルの模索で農業に興味を持ったという逗子市在住の40代男性。朝9時から夕方4時まで大根畑で作業を手伝い、農家宅で振る舞われた昼食で採れたてのおろぬき菜のおひたしを味わった。「農家も助かるし、参加者も喜ぶいい企画」。趣旨に賛同した長谷川農園の長谷川清志さんは振り返る。ミサキステイル代表の菊地未来さんも「今後も継続し、農家からの依頼に応えられたら」と展望を話した。
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