三浦市は今月5日に開かれた三浦市議会第4回定例会で、市内11の全小中学校にエアコンを設置する方針を明らかにした。今夏の猛烈な暑さを受けたもので、2018年度一般会計補正予算案で事業費約2億7千万円を計上し、本定例会に提出。来年度中の整備完了をめざしている。
気象庁が「災害級の暑さ」と警戒を呼び掛けるなど、記録的な猛暑となった今夏。全国各地で熱中症による救急搬送が相次ぎ、愛知県の小学校では、校外学習から帰った1年の男子児童が死亡する事故が発生。成人と比べて熱中症のリスクが高い子どもの体調管理や快適な学習環境整備のため、保護者や市議などから教室にエアコンの早期設置を望む声が多くあがっていた。
事業費の補正予算案計上を受け、今月5日の市議会本会議で長島満理子氏(みうら市政会)と藤田昇氏(公明)、6日に小林直樹氏(共産)が学校の空調設備整備事業について一般質問した。
早期実現求む声
市の答弁によると、計画では市内8小学校の普通教室、中学校3校の普通教室と特別教室にエアコンを整備。事業費の総額はおよそ5億円を見込んでおり、財源として国が1年限りで創設した「ブロック塀・冷房設備対応臨時特例交付金」などを活用する。すでに市内学校の一部教室に設置されているエアコンをもとにした試算では、ひと月の電気代は1校あたり平均16万円かかるとされる。吉田英男三浦市長は「設置は待ったなしの状況にある。(家庭用とは異なり)冷房能力の高い機器を設置する必要があり、市の財政にかかる負担は大きいが、児童生徒の安全には代えられない」と話した。
設置時期に関する明言は避けたが、市は「1学期に利用できる学校が1校でも多くあるようめざす。ほかの学校についても夏休み中には工事し、2学期の稼働を目標にしたい」と説明。これに対し、市議からは「全国の学校で一斉に工事が始まり、需要が急速に拡大することで整備完了までに時間を要するのでは」と危惧する声もあり、補正予算可決後、早急な取り組みを求めた。
また、地域の防災拠点としての役割も担う体育館の空調設備について問われると、「サーキュレーターの導入など防災担当と協議していく」とし、学校現場の暑さ対策の推進の考えを示した。
2011年度には交付金を活用し、暑さ対策として市内小中学校に扇風機が置かれている。
危険ブロック塀対策も
市は今年6月の大阪北部地震で小学校のブロック塀が倒れ通学中の女児が死亡した事故を受け、三浦市内での安全対策についても言及。市が特に高い危険性を確認した9カ所から優先し、全57カ所を県横須賀土木事務所へ調査依頼しているほか、児童に対する安全確保の指導を実施。今後、防災防犯マップへの記載などで保護者や地域住民が情報を共有できる体制を整える方針だ。
横須賀市など近隣自治体では、危険ブロック塀等の撤去に関する補助金創設の動きが加速。三浦市も必要性を認識しているとした上で、「こうした動向を見ながら、耐震診断の義務付けによる耐震化促進と補助制度の創設に向け、協議を行う」としている。
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