三浦市教育委員会は、2025年度を目標に、1中学校区に1小学校とする統廃合の実施目標などを盛り込んだ「市学校教育ビジョン(案)」をこのほど公表した。少子化に伴う教育環境の変化に対応するもので、9年間の小中一貫教育によるきめ細やかな指導や、教員の人材確保・働き方改革などの実現を図る。
市内8小学校のうち、現在、全学年単学級の学校は5つ。市外への人口流出や少子化などによる小規模校化が進行し、2024年度には初声小学校を除いた7校が全学年単学級になると市教委は推定する。今年度、最も少なかった新入学児童数は剣崎小学校の10人。今後、全市的に1学級あたりの児童数が1ケタの学年も複数出てくるとみられる。
その一方、2016年度に実施された小学校適正規模に関するアンケートでは、「ある程度の競争意識が必要。社会性を身につけるには多くの友だちとの交流を持つべき」や「いじめなど人間関係の固定化が心配」といった声のほか、多人数による協調性の醸成などを理由に、保護者と教員のおよそ95%が「1学年の学級数は2学級以上がよい」と回答している。
こうした意見を踏まえ、市教委ではこれまでの多様な学びの場の維持、教育の充実を図りながら、▽9年間を見通した教育課程編成の重要性、▽一定規模(児童生徒数・教職員数)の確保の必要性の2本柱とする教育ビジョン案を作成した。
そのなかで、初声・三崎・南下浦の1中学校区に対して1小学校へ統廃合を実施し、9年間の小中一貫教育体制の構築をめざす。
教職員を共有
教育現場では、教職員の人材確保と若手教師の育成(指導力向上)、働き方改革といった課題も抱えている。
ビジョン案によると、小学校における50代教員が占める割合は約15%。単学級化によって、同学年を受け持つ担任同士の意見交換や相互指導が図られにくく、今後、定年退職でベテラン教員の大幅な減少も見込まれているという。
対策として、中学校教員は免許を所有する教科の小学校の授業を指導し、中学校の部活動を小学校教員が受け持つ相互乗り入れを検討。量から質の改善を図り、合同で研修会や授業参観などを行うことで指導力を向上させる。
パブコメ募集
市教委は今年度に三崎地区と南下浦地区で「地域協議会準備会」の発足を経て、協議会が地域の意見を集約しながら、小学校の設置場所の選定を実施。あわせて、児童と保護者の負担軽減のための通学方法や経費などに関する施策を検討していくという。
市教委は7月16日(火)まで、「市学校教育ビジョン(案)」のパブリックコメントを募集。市民から意見を募っている。詳細は学校総務課へ。
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