小網代湾の海の中で熟成させたワインを特産品にしようと、地元団体が商品化に取り組んでいる。昨年12月から半年間、海に沈めていたワインの試飲会が先ごろ行われ、好評を博した。まずは、ワインを有料で預かり、熟成を請け負う事業を今年10月にもスタート。品質テストを行いながら、土産物やふるさと納税返礼品への採用をめざす。
海中熟成ワインの商品化をめざしているのは、小網代区・三浦市観光協会油壺支部・みうら漁業協同組合小網代港・油壺観光企業組合からなる「小網代観光振興活性化検討協議会」。特産品づくりなど、地元漁師の新たな収入源の確保や観光振興を目的に、2018年から活動している。
カゴに入れたワインを、紫外線が届かない水深およそ10mに半年間沈めると、平均13℃の海水温、海中の微振動などによって熟成が進む。まろやかで深みのある味わいに変化する、いわば「天然のワインセラー」だ。静岡県西伊豆では同様の手法で数年前から商品化され、人気が高いという。
同協議会では、2018年11月に着手したが、時化ですべて流出。昨年末に再挑戦してから半年、今年6月にはおよそ200本の“水揚げ”に成功したという。漁師が沈めたボトルには細かいフジツボがついて特別感が加わっただけでなく、試飲会では「濃くておいしい。味に深みがある」と評価は上々だった。
地域一丸でつくる
海水の混入を防ぐための工夫も地域色をいかした。試験的に使用したのは、小網代の養蜂場で採れたミツロウで、これを栓部分にコーティング。塗布作業は、三浦市社会福祉協議会の障がい者就労支援センター「どんまい」に委託し、地域福祉との連携を図った。
先月27日には、事業報告のため、代表して出口浩さんと出口眞琴さんが、吉田英男市長を訪問。「ふるさと納税の返礼品への採用もめざしたい」と意欲を話すと、吉田市長も「イベントでのPRなど、環境づくりに協力できたら。成功に期待したい」と取り組みを歓迎した。
今後、さらなる品質テストを続けながら、パッケージデザインの検討や販路の確保、ブランディングを進める傍ら、個人や飲食店などから箱単位でワインを預かる熟成サービスを展開。早ければ今年10月からスタートさせるという。出口浩さんは「ここでしか買えない、飲めないワインをつくりたい」と意気込んでいる。
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