三浦市は「誰も自殺に追い込まれることのない街」を掲げ、具体的な予防・支援策を盛り込んだ「自殺対策計画」をこのほど策定した。地域全体の問題としてとらえ、官民一体で取り組みを推進。ともに支え合う社会をめざす。
三浦市自殺対策計画に記された統計によると、2013年から2017年までの5年間で、市内居住者における自殺者数は、10人前後で増減を繰り返している。男女別でみると、男性が約8割を占める。また、人口10万人当たりの自殺死亡者数を指す自殺死亡率では、県の15・46、全国の18・55を上回り、平均23・19。市は母数になる人口が少ないことから、1人の増減が数値に大きく影響すると分析しているが自殺者数が2桁になると、その割合が30を超えるなど、概ね高い水準にあるという。
そのほかの特徴として、60歳以上が全体の半数で高齢者による自殺が目立ち、原因や動機は不詳に次いで、健康問題、経済・生活問題・家庭問題の順と推定されている。
孤立させない街に
三浦市が定める自殺死亡率の数値目標は、22年までの5年間平均で18・55。「誰も自殺に追い込まれることのない三浦市を目指して」の基本理念をもとに定めた5つの基本施策を進める。▽【1】地域におけるネットワークの強化―関係機関の連携、生活困窮者の早期発見・自立支援制度による効率的支援の提供。【2】自殺対策を支える人材の育成―傾聴や見守りを通して、自殺リスクの高い人・危険信号に気づくゲートキーパーの養成や市職員の研修実施。【3】市民への啓発と周知―市広報紙・ホームページでの周知、予防キャンペーンの展開。【4】生きることの促進要因への支援―生活の困り事相談、居場所づくり、自殺未遂者に対する支援。【5】生きづらさを抱えた若年者への支援―児童生徒が相談・助けを求められる環境づくりを推進。
計画では、自殺死亡者数の割合が高かった高齢者、生活困窮者、勤務・経営者を重点的な支援が必要な対象者としても設定。また、民生委員児童委員、医療機関、警察、行政、福祉団体が名を連ねる「自殺対策会議」を開催し、官民の連携を強めることで施策効果を高めていくという。
勉強会で理解促進
自殺をするメカニズムや家族・友人の立場からできることを考える勉強会が、4月6日(土)にNPO法人「障がい者のあすの福祉をよくする三浦市民の会ぴあ三浦」の主催で開催される。医療法人財団青山会の共催。
当日は帝京大学医学部教授で精神医学博士の張賢徳さんが、「ひとはなぜ、自殺するのか〜大切な家族や友人のために出来る事」をテーマに講演。自殺のリスク要因を減らし、周囲がどのようにサポートすべきかを考える。会のなかでは、三浦市自殺対策計画に関する説明も行われる。
会場は南下浦市民センター講堂、時間は午後4時50分から6時30分(4時15分開場)。参加無料。
詳細は同法人【電話】046・888・7227
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