平塚版 掲載号:2011年6月23日号
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農地除染 ヒマワリに望み JAXA山下教授らのプロジェクト 平塚農高生が協力

カプセルから芽を出したヒマワリを見つめる生徒「改良の余地はまだまだある」と意欲的だ
カプセルから芽を出したヒマワリを見つめる生徒「改良の余地はまだまだある」と意欲的だ

 福島第一原発の事故で放射性物質に汚染された農地にヒマワリを植え、土壌を除染しようという試みが、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の山下雅道専任教授らの手で進められている。プロジェクトには、「宇宙トマト」の栽培で交流のあった平塚農業高校の生徒も加わり、安全に種をまくための空中散布に向けた方法を研究している。

 植物の栄養となるカリウムは放射線セシウムと化学的な性質が似ており、植物体の大きなヒマワリを汚染土壌に植えることで、セシウムを吸い上げる効果が見込める。この特長に目をつけた山下教授らが取り組むのが「ヒマワリ作戦」だ。

 汚染土壌への種まきは被ばくの危険が伴うため、山下教授らは空中散布を検討。84年、NASAが打ち上げたスペースシャトル「チャレンジャー」に積まれていたトマトの種子栽培を通じて交流のあった同校に、種を土に植えることなく根付かせる手段を考えてほしいと相談を持ちかけた。

 依頼を受けた同校園芸科学研究班のメンバーは、発芽した状態の種をアルギン酸カルシウムという物質でできたゲル状のカプセルで覆う方法を考案。実験を重ねるうち、種は見事に芽を伸ばし土に根を張った。

課題は種の生存率

 同班メンバーが4月から取り組むカプセルの開発は、ヒマワリの種の生存率を上げることが最大の課題だった。

 1度目の実験では、カプセルが乾燥して種にまとわりつき、発育を阻害してしまった。保水性を高めようと2重にすると、今度はカプセルが大きすぎるため種の生存率が下がってしまう。

 そこで、芽がカプセルを破りやすいように硬さを変えることで、保水性を保ちつつ、種の生長も妨げないカプセルができた。1年生の内藤翔太さんは「初めてヒマワリが芽を出したときは、植物の力ってすごいなと思った」と嬉しそうに振り返る。

  地表にまいた種が鳥に食べられないよう、太陽に反射するラメを混ぜて忌避効果を持たせるなど、メンバーは独自のアイデアをカプセルに取り入れ、日増しに改 良を重ねている。部長の阿部夏輝さん(3年)は「まだまだ改善の余地はありそう」と、より優れたカプセルの開発に意欲的だ。

※・※・※

 阿部さんは、岩手県で農業を営む親戚の手伝いが毎夏の楽しみだという。「原発の事故は他人事とは思えなかった。農地が汚染されてしまえば、みんなが食べるものにも影響が出てくる。農業高校生としても辛い気持ちだった」と、研究にかける思いは人一倍強い。

  取り組みを見守る顧問の藤森明夫教諭は「生徒たちの中から、斬新なアイデアが次々に生まれてくる」と、メンバーの成長を実感している。「汚染の問題は、解 決まで長い時間がかかるだろう。生徒は、自分たちの将来に関わる問題として受け止めている。この基礎研究がモデルケースとなるよう、今は何にでも挑戦して もらいたい」。

 メンバーは、7月に行われる日本学校農業クラブ連盟主催の県大会で、研究の成果を発表することになった。大会に向けた準備にも忙しいが、福島の農地に満開のヒマワリを咲かせることを夢見て、奮闘を続けている。

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