知的障害者らの就労支援施設など運営する社会福祉法人進和学園(出縄雅之理事長)が5日、竣工したばかりの農産品加工場「湘南工房」(上吉沢)のオープニングセレモニーで施設を公開した。加工場の建設には、農林水産省の6次産業化ネットワーク活動交付金を活用。同法人は農業振興と就労支援の両立を目指す。
同法人の施設「しんわルネッサンス」の作業棟を一部改修し、加工場は整備された。青果をジュースやジャムに加工する搾汁機能を備えているのが特色で、小ロットで多品目に対応できる加工場としては県内初の施設になるという。
工場建設には、農林水産省が地場農産物の製品開発や販路開拓に資するとして、6次産業総合化事業に認定。総工費9115万円のうち、交付金3318万円が充てられた。
加工場では、進和学園で生産しているトマトやブルーベリー、ニンジンといった農産物をはじめ、県内農産品を仕入れてジュースやピューレ、ケチャップ、ソース、ドレッシング、ジャムなどに加工、農産物の付加価値を高めて出荷する。 加工や瓶詰め、ラベル貼りといった作業は、障害を持つ10人の利用者が担う。同学園の久保寺一男統括施設長は「福祉には異業種交流の機会が少ない。地域の農業振興に力を提供したり、商品が一般市場に流通したりするのは、利用者にとってやりがいになるし、雇用や工賃にもつながる」と話している。
加工された商品は、NPO法人湘南スタイル(茅ヶ崎市)から提供された「湘南工房」の商標を冠して販売する。周辺市町村の飲食業組合やホテルなどに売り込む一方、地元農家や農協から寄せられるオリジナル製品の受注も対応する。
湘南スタイルは商品開発支援や販路拡大にも参画するが、こうしたネットワークの構築がこの6次産業化の特色でもある。JA湘南など農協組織は材料調達に協力、平塚市や神奈川県農業技術センターも情報提供や技術指導するなど、加工場の運営を支援する。
加工場では現在、利用者がトマトジュースやピューレなどの試作に取り組んでおり、7月上旬を目途に出荷を始める構えだ。利用者の時田宗幸さんは「工場は広くてとてもいい。ジュースも美味しく仕上がっている」と笑顔で話していた。
出縄理事長は落合克宏市長ら関係者が出席したオープニングセレモニーで、「障害をもつ人たちに生活や働く喜びを提供し、生きがいのある人生を支援する夢がまたひとつ開花した」と挨拶。落合市長は「農業を取り巻く環境は厳しいが、このような施設は農業や農政にとってありがたい。六次産業化の道標になって欲しい」と期待を寄せていた。
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