落合克宏市長(62)が、タウンニュース元旦号の単独インタビューに応じた。ツインシティや龍城ケ丘の整備事業、東京五輪事前キャンプ、2020年度予算編成などについて語った。=聞き手/平塚版編集長・沼田繁
――昨年の重要なトピックスは何でしたか。
「台風19号の被害が特に大きかったです。(約2億8千万円かかる)災害復旧のために募ったふるさと寄付金などでは500万円以上いただきました。平塚市は相模川と金目川に囲まれ、降雨量も年々増えていますので、風水害の対策は講じていかなければなりません。今回の被害を踏まえ、内水ハザードマップは刷新します」
――台風19号の浸水被害で、四之宮の鹿見堂排水路の水門を閉めず、川の水が逆流した可能性があるとの報道があった。
「バックウォーター現象があったのかは検証したいと思います。床上・床下浸水が発生しましたが、水門を閉めることで内水氾濫の危険性もあったため、水門を閉めなかった現場判断は総合的にベターな対応だったと思います」
――ツインシティは今年まちびらきです。
「まちびらきは、様々な建設が本格化するキックオフイベントとして行われる予定です。三井不動産の大型物流施設は昨年11月に開業しています。建設中の大和ハウス工業と信濃運輸、日本GLPの物流センターも稼働し始めれば、ヒトやモノの流れが相当大きくなります。2022年度中には約6千人の雇用が生まれる見込みです。三井不動産によると、新東名厚木南ICの目の前で、とても便利だと評価されていました。相模小学校は22年4月開校、イオンモールは22年度内に開設されるものと期待しています」
海岸魅力化「いよいよ形に」龍城、ビーチ、新港で進展
――寒川町倉見地区の整備が進んでいません。
「大神・倉見線の寒川町側の道路が未整備なままでは、相模川のツインシティ橋は架けられません。寒川町には強く申し入れをしています」
――見附台周辺整備は今年、どのような進展が見込まれますか。
「平塚文化芸術ホールは2022年3月のオープンを目指し、この1月に着工します。民間収益施設は事業者がテナント選定を進めており、21年3月にオープンする予定です。駅西口や中心街との連携に期待したい」
――龍城ケ丘ゾーン公園整備の事業者選定はどのような状況ですか。
「昨年12月に4グループから提案があり、環境へ配慮すべきとの意見を踏まえながら、1月中に事業者を選定します。選定した提案については、市民の方に説明して意見をいただく場を設けます。着工は2021年度後半を予定しています。また、ビーチパークの津波避難展望台は、この1月に着工します。新港には2月に波力発電所が、3月には背後地に広場が整備されます。今年は海岸エリアの魅力アップがいよいよ形になって動き出します」
――2020年度予算編成の見通しをお聞かせください。
「昨年の市長選で『子や孫にたしかな平塚をつないでいく』との公約で信任いただき、その施策を着実に前に進める予算編成をしています。一件審査方式のような形で各事業が有効なのか、考え直しながら進めます。歳入では、今の経済状況で大幅な税収の伸びは見込めそうもありません。一方、歳出は社会保障費がこの10年間で1・6倍に増え、(財政の弾力性を示す)経常収支比率は90%を超え、財政の硬直化が進んでいます」
――厳しい財政運営にどう向き合いますか。
「地域経済を活性化しながらお金を生み出し、行革では民間活力の導入と公共施設の再編を柱に取り組みたい。昨年9月には市民課と保険年金課の窓口を民間委託し、窓口案内板の広告収入を得ることも始めました。(博物館や市民病院で行った)クラウドファンディングの活用もしていきたい」
――東京オリンピック・パラリンピックの事前キャンプでリトアニア共和国を迎えます。
「総合体育館もリニューアルしましたし、トレーニングする選手の受け入れ体制をしっかりと作ります。事前キャンプではトレーニングが中心となりますが、大会終了後に選手と交流する機会を設ける予定です。聖火リレーは6月29日、平塚駅南口周辺から国道134号を通るルートに決まりました。市民の皆さんと盛り上げたいです」
――中学校給食はいつの実施を目指しますか。
「共同調理場の候補地が決まり、2022年度に整備着工します。それに加え、実施には校舎に給食を受け入れるための施設整備なども並行して進めないといけません。議会からも早期開始を求められていますので、できるだけ早く提供を開始したいと考えています」
――神奈川大学移転後の影響はどのようにお考えでしょうか。
「2021年4月に経営学部が国際経営学部としてみなとみらいキャンパスへ、23年4月に理学部が六角橋の横浜キャンパスへ移転すると発表されています。神大や地元との話し合いは続けていますが、移転後のキャンパスの利活用は大学からはっきりと方針が示されていません。周辺地域ではバス路線に影響があると思いますので、そこは最小限に留めるよう事業者にお願いをしていきます」
――地域の発展に欠かせない経済活性にはどのように取り組みますか。
「平塚市は工・商・農・漁業の歴史が古く、それぞれ高いポテンシャルを持っています。六次産業化など、これからも産業振興のためのつながりや連携を推進したい。波力発電では市内事業者の技術が結集される側面もあり、平塚の技術力のPRになりますし、電力の地産地消という話題性もあります。商店街のまちゼミや着地型観光の取り組みのように、行政が中心となるよりは、各産業分野に動いてもらえるような環境づくりをしていきたいと考えます」
――移住定住促進の考え方も教えてください。
「人口の自然増減では年間約1000人の減少がある中、社会増により25万8千人程度を維持し、0〜4歳児の転入超過は続いています。小児医療費無償化や小中学校普通教室のエアコン整備など、子育て支援と学校環境の充実化が評価されているのでは。子育てや教育、買い物、交通などを魅力化することが、移住・定住につながると考えます。民間会社の調査「本当に住みやすい街大賞2020」(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)で、平塚市はシニア編で3位(※1位は東京都の木場・2位は同・大泉学園)に選ばれました。『海と自然と賑やかさが混在するスローライフにぴったりな街』との評価です。若い世代の評価も高めたいです」
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