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平塚・大磯・二宮・中井 人物風土記

公開日:2024.05.02

第18回鈴川鯉のぼりまつりの実行委員長を務める
川口 一正さん
岡崎在住 72歳

急がず休まず諦めず

 ○…鈴川鯉のぼりまつりを取り仕切る実行委員長に今年2月に就任。コロナ禍では中止となっていた大住中学校吹奏楽部の演奏や、岡崎小学校児童の手作り鯉のぼり、子どもたちに人気のミニSLなども復活させ、活気を取り戻そうとまい進する。「晴れた空の下、箱根連山を眺めながら、子どもたちが楽しめるイベントになれば」

 ○…岡崎の農家の長男として生まれ育つ。中学時代は柔道や駅伝、江南高校ではバレーボールで地区選抜に選ばれるなどスポーツ漬けの日々を送った。ある時、物理学者・湯川秀樹の伝記を読んで、「急がず、休まず、諦めず」という言葉に感銘を受けた。中央大学では物理学を専攻し、「ものづくりで世の中の役に立とう」と志を立てた。

 ○…世は半導体全盛期。当時のコマツ電子金属に就職し、睡魔と闘いながら深夜まで顕微鏡を覗きこむ日々を過ごした。九州の工場新設に伴って異動の可能性が浮上。長男として家業を手伝う必要があるため、転職を決意した。新たな挑戦のフィールドは中学生の時に憧れていた数学の教諭。働きながら通勤前の時間を勉強に充て、秦野市の教員採用試験に合格した。それまで科学を相手にしていたのが、人間相手になると勝手が違う。時には不登校の生徒に真正面からぶつかり、部活動の顧問として生徒たちを見守った約30年の教員生活だった。

 ○…退職後は生まれ育った岡崎で地元への恩返しを始めた。今年3月まで自治会長を務めると、休む間もなく鯉のぼりまつりの実行委員長に。「中心メンバーの高齢化が課題」と苦笑しつつも、準備に勤しむ姿ははつらつとしている。「今、何よりの楽しみは孫の顔を見ること」と優しい眼差しを見せた。

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