大蔵律子平塚市長に年頭インタビューを行った。昨年の平塚市や国内外の情勢を振り返るとともに、今年の重点施策について聞いた。市長は新年度の予算編成の見通しや、自身2期8年の総括を語った。(聞き手は平塚編集室副編集長・沼田繁)
―昨年、国内外で印象に残った出来事はなんでしょう
昨年は異常気象の年でした。宮崎県では口蹄疫が流行し、農畜産業に携わる方々にとっては厳しい年であったと思います。嬉しいニュースでは、ノーベル化学賞を2人の日本人が同時に受賞されました。やはり、この国は技術立国だということを国民が感じた年にもなったのではないでしょうか。
―日本の外交力が問われた1年でもあります
尖閣諸島沖の問題では、日中間の国際関係が大きくクローズアップされました。また、COP10やAPEC首脳会議が国内で開催されましたが、いずれにしても国際社会での日本の立ち位置を鮮明にしなければならないということが問われた1年でした。
駅西口にエレベーター4基
美術館20周年 伊東深水や北大路魯山人展も
―昨年の平塚市で印象深かった話題はなんでしょうか
平塚の魅力をPRできるスポットが2カ所、新たにオープンしたことです。
1つは花と緑のふれあい拠点・ひらつか花アグリです。ここには県立『花菜ガーデン』と、JA湘南の『あさつゆ広場』がオープンしました。その隣接地には大型市民農園を市が開設し、好評をいただいています。
2つ目は、湘南・県央地区で初のパークゴルフ場が完成しました。市民の方に大いに親しんでいただきたいと思います。
―他に、特筆すべき市政の取り組みは何でしたか
子育て支援のため、「きりんのおうち」・「どれみ」という”つどいの広場”を2カ所開設しました。これで目標としていた市内4カ所の子育て支援施設が整備できたということで、嬉しく思っています。
長年の課題だった「福祉会館4館構想」の最後のひとつである、西部福祉会館もオープンできました。子育て支援の環境も備え、多面的な場所としてオープンできたと思います。
また、全28小学校の学校図書館で学校司書の配置が終わりまして、22年度は中学校5校でも配置することが出来ました。今後も全中学校への配置を目指します。
―懸案だった、駅西口東地の自転車・バイク駐車場整備の道筋もつけられました
2階建て2層3段式の駐車場が今年3月に完成します。これで駅周辺の放置自転車の解消が進むと思いますが、自転車に乗るマナーについても啓発していきたいと思います。
―湘南ベルマーレが残念ながら降格しました
昨年はJ1に昇格して大変市民も湧きましたし、経済効果も大きかったのではないかと思っています。J1にいることの大きさが分かったわけですから、市民が 一体となって応援し、選手にも頑張っていただいて、近いうちにまた昇格できるよう、出来る範囲で応援し続けていきたいと思います。
―今年の話題に移します。来年度予算編成の見通しはいかがですか
今年は統一地方選挙もありますし、義務的経費を中心とした予算編成となります。しかし、次期環境事業センター整備や新庁舎の建替えなどは、予算措置をして いきます。そうした大きな事業を計画通りに行っていきますので、予算規模は22年度当初よりも上回るものと見込んでいます。
―財政が厳しい今、110億円の巨費を投じて新庁舎を建てる必要性があるのかという声もありますが
市庁舎は、災害時の対策本部の拠点になりますし、日頃の市民サービスの多くを提供する場となります。今の庁舎は耐震上大きな問題を抱えています。
耐震補強を実施して今の建物を使おうとすると、窓がほとんど塞がり、スペース的にも小さくなります。しかもその補強工事には何十億という経費がかかる試算が出ました。
市庁舎については、歴代市長が議論を尽くしてきたと思っています。市庁舎新築のための基金も、70億円を超えるぐらい積みあがってきています。110億円 積みあがるまで待てばいいのかというと、今の財政状況では積み増しをするというのは大変厳しい状況です。先送りしたら災害時に大変なことになるという懸念 もあり、ここで実施する事にしました。
―歳入の見通しは厳しいものになると予想されますが
法人市民税 は21年度決算で前年比46・7%減り、30億円を切る状況でした。22年度の状況では、なんとか前年よりも上回る見通しを立てていますが、個人市民税が 22年度当初予算よりも落ちる見通しです。相殺すると、当初見込んだ程度の歳入は確保できるかもしれませんが、財政運営上は大変厳しいと見ています。
―歳入確保に向けた取り組みも重要です
施設などの冠に企業名をつけるネーミングライツも検討はしているところです。平塚競技場をはじめ、検討を盛んにしています。
―2期8年の市政の総括をお聞かせ下さい
まず一つは、市民自身の手によるまちづくりを進めていきたいと思ってきました。「協働のまちづくり」の推進です。もう一つは、「安心・安全なまちづくり」です。安心と安全が確保できる地域社会づくりを進めてまいりました。
―具体的にはどのように取り組まれてきましたか
「協働のまちづくり」については、各種審議会等委員の市民公募委員の登用も進めてきました。総合計画を作るときは、公募市民でひらつか未来市民会議を立ち上げていただいて、職員や学識経験者も一緒になって議論してきました。
自治基本条例の制定についても、条例を作る過程こそ市民自治の第一歩だという考えから、公募市民に参加していただきました。
市民参加のワークショップを取り入れてきましたし、市民が自らの地域を自らの力で解決しながらまちづくりをしていこうという考えを定着させられたと思っています。
―「安心・安全なまちづくり」への取り組みは
「子育てするなら平塚で」というキャッチフレーズをマニフェストで使わせていただきました。
21年度には新保健センターが完成し、地域医療の充実につながったと思っています。また、学童保育については公共施設を利用していただくほか、4カ所の学童保育を公設民営で整備してきました。
また、小学校・中学校は避難所にもなっていますので、順次耐震補強工事を進めています。校舎については終了し、体育館も着実に進めているところです。
地域福祉に関しては町内福祉村が今、9カ所ございますが、新たに富士見地区と旭南地区の2カ所でも今年度末までに設置ができるよう、準備を進めています。
―今春の市長選への意欲は
今の私に課せられた課題は全部クリアできているわけでもありませんし、この難しい時代ですから、今をとにかく一生懸命走りきろうとやっています。今も私なりに色々と考えています。
―今年に向けての取り組みをお聞かせ下さい
現在、23年度から駅西口のバリアフリー化事業に着手できるよう、準備を進めている最中です。概要は、駅西口改札内の上下線ホームと、駅西口跨線橋の南北、計4カ所にエレベーターを設置するというものです。
次期環境事業センターについては現在、し尿処理施設の解体を進めており、今年4月から本体の建築工事に入ります。平成25年の稼動を目指し、着々と新築工事を進めていきます。
また平塚市美術館が3月に開設20周年を迎えます。その記念事業として、美人画で一世を風靡した伊東深水や、日本を代表する陶芸家である北大路魯山人の企画展を予定しています。
今年の取り組みを語る大蔵市長
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