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秦野版 公開:2022年7月8日 エリアトップへ

なんつッ亭大将 古谷一郎 【私の履歴書】 シリーズ 「我が人生の歩み」 第11回・震災契機に政治に関心

公開:2022年7月8日

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 そう言えば、普通高校を辞めた後に入学したものの、すぐに辞めてしまった調理師学校から、講演やラーメンの調理実習の依頼があった時に、理事長が僕の事を覚えていてくださり、「まさか、あのお前がこうなるとは思わなかった」と驚きを隠せない顔で言われた事もありました。実は一番驚いていたのは、僕自身ですけどね(笑)。

 秦野のみなさんは信じられないかも知れませんが、その頃になると、世間では僕を成功者として紹介してくださったり、また、経営者として、成功の秘訣を話して欲しいという講演依頼が増えました。ただ、そういう世間の対応が、僕自身は正直、居心地が悪かったですし、嫌で仕方ありませんでした。今よく思い返してみると、僕自身も多少の驕りがあり、調子に乗っている時期があったことは否定しません。でも、現在はもちろん、その時も自分が成功しているなどとは一度も考えた事もありませんでしたし、自分が経営者として優れているとは考えた事もありませんでした。何故なら、何を以って成功とするのかが良く分かりませんでしたし、僕自身が経営者として優れていたから東京や海外に進出出来た訳ではないと思っていたからです。

 その当時の僕は、家族との時間など全くありませんでした。家でのんびりしていると、世間に置いていかれてしまうような強迫観念のようなものにいつも取り憑かれていたからです。たまに会った友達から、「古谷はいいよなー」などと言われようものなら、「どこがいいんだ?家に帰る暇もなく働きずくめの何処がいいと思えるんだ?」とムキになって返す事もありました。実は自分では、成功とは程遠いと思っていました。家族はもちろん、沢山のスタッフたちも抱えるようになっていましたから、止まることなど考えられませんでした。また、経営者としても、特に僕が優れているとは一度も思った事もありません。僕が特別に優れているのではなく、素晴らしいスタッフ達に恵まれて、その仲間達と目標を共有出来たからこそ、東京や海外への進出も果たせたのです。若かりし頃、単なるバカだった僕如きが、一人で何かを成し遂げられる筈がありません。でも、同じ目標を持った仲間がいれば、不可能な事などないと思えるようになりました。それは、僕自身が実際に経験してきましたので、自信を持ってハッキリと言えます。

 僕がラーメン屋をやるようになってからは、地元秦野にもラーメン店が増えたように思います。知り合いからも、ラーメン屋がそんなに儲かるなら、ラーメン屋をやりたいなどと相談される事も少なくありませんでした。特に僕の昔のバカっぷりを知っている人などは、あんなバカに出来るのだから、自分に出来ない訳がないと思うようです。でも、残念ながらどの方も長続きはしませんでした。僕は、偉そうなことを語るつもりも、資格もないと思っていますが、「儲かる」というモチベーション、つまりお金だけを目標にしていては、長続きは出来ないと思います。これまでも書いてきましたが、僕は定食屋の息子で、初めは売れないラーメン屋でした。そんな経験から、「お客様が来てくれる、ありがたさ」や、「お客様に喜んでいただいた時の嬉しさ」は身に染み込んでいると思っています。だからこそ、ラーメン屋に誇りを持って続けてこられたのだと思います。「儲かりそうだから」という理由だけでラーメン屋を開業していたら、とっくに挫折して辞めてしまっていたと思います。人の役に立つこと、笑顔になってもらうこと、そこに心から喜びを感じられる事。そういう偽りのない真っ直ぐな気持ちこそが、商売を長続きさせることに繋がるのだと思います。今や、僕にとってラーメン屋は職業ではなく、生き様だと言っても決して過言ではないと思っています。

 ゴミ置場の横のラーメン屋から、海外進出も果たし、商売も軌道に乗っていた時に東日本大震災がおきました。あの時は、もう日本は終わってしまうのかと不安になりましたし、もちろん商売も継続出来るのだろうか、という不安もありました。それでも僕は、日本を信じていましたから、日本は大丈夫、だからもちろん僕らも大丈夫だと、自分やスタッフ達に言い聞かせました。

 そんなある日、出張先のシンガポールでよく行くお寿司屋さんの張り紙に言いようもない哀しみを感じたのです。それまでは、「当店のネタは毎日、築地から空輸しております」が売りだった筈が、事故後は「当店のネタは日本以外から輸入しているので安心して下さい」となっていたからです。これは、ショックでした。それまでは、政治はよく分からないし、関係ないから、政治のプロに任せておけば良い、と多くの方と同じように政治に無関心だった僕が、東日本大震災をきっかけにして政治についても考えるようになったのです。(最終回に続く)

秦野から未来を創る会(古谷一郎事務所)

秦野市松原町1の4

TEL:0463-88-0735

https://ichiro16.jp/

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