宇宙航空研究開発機構(JAXA)はこのほど、相模原キャンパス内に宇宙探査技術の開発を目的とした世界有数規模の実験場を持つ新たな実験棟を整備した。実験棟の中に課題となっていた大型実験場が誕生したことで、小惑星探査機「はやぶさ」など、海外でも高い評価を受ける日本の宇宙探査技術のさらなる発展が期待される。
地上2階建ての新たな実験棟の1階部分には、実験用の砂を敷き詰めた広さ400平方メートル、天井の高さ約11mの大型屋内実験場「宇宙探査フィールド」を整備。2階には会議室や見学用通路などを設けた。同実験場は宇宙探査技術の開発を目的とした屋内施設としては国内最大。アメリカ航空宇宙局(NASA)など各国の研究機関が有する実験場にも引けをとらない、世界でも有数の規模を誇る。
JAXAは2015年、宇宙探査技術の開発と民間企業との融合による技術革新を主眼とした新組織「宇宙探査イノベーションハブ」(以下、探査ハブ)を設立。約30社と探査機の遠隔操作分野などで技術開発を行ってきた。
ただ、探査ハブのみならず国内での宇宙探査技術の開発には「大型屋内実験場の不在」が課題とされていた。実験施設は天候などで結果が左右されるのを防ぐため屋内であることが必須なのに加え、日本が得意とする複数の小型探査機を同時に動かして資料探査にあたる方法の試験を行う際は、一定の広さを確保する必要があった。そこで、JAXAは探査ハブの中心施設として「大型屋内実験場」を相模原キャンパスに整備する方針を決定。整備過程で施設内の湿度管理などに苦慮したが、完成を迎えた。
同実験場の特徴の一つは天井の高さ。これにより探査機の走行試験だけでなく、これまで困難だった天井クレーンを活用した探査機の離着陸試験や、宇宙空間でのドローンの飛行試験なども可能となる。他にも、宇宙空間の条件により近づけるために必要な「人工太陽光照明灯」などを取り揃えるなど環境面も整えた。
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