♯みゅーじっくコラム♭ 音楽の森 ピアニスト 倉本 卓
倉本 卓さん
以前から生の演奏を聴きたいと思っていたロシア系イスラエル人のピアニスト、イェフィム・ブロンフマンのリサイタルに行ってきました。
ＣＤやネットなどの演奏を聴き巨大なスケールの持ち主なのだろうと思っていましたが、彼の奏でる生の音に私は驚愕し打ちのめされました。登場するやいなや弾き始めたプロコフィエフの戦争ソナタ第６番冒頭の和音、何という重厚で豊かな響きなのでしょう！聴き手をグイグイ引っ張っていくテンポ感の素晴らしいこと！私は我を忘れて手が痛くなる程拍手をしました。
プロコフィエフのソナタは一つ間違えると大変退屈する曲ですが、一曲足りとも聴衆を飽きさせることはありませんでした。こんなにも興奮した演奏はいつ以来か。私の敬愛するピアニスト、ルプーとはタイプ的には対極ですが弱音が美しいという点では共通するものがあります。
アンコールはガラリと雰囲気を変えてスカルラッティのソナタ。これがまた小憎らしいほど美しくて感嘆のため息が出ました。こういう素晴らしい演奏を聴くと私も大変刺激になり、ピアノという楽器の無限の可能性を再確認させてくれます。
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