御用邸からほど近くに猫グッズ専門の美術館がある。葉山町下山口在住の広沢義之さん(57)が「癒しの場に」と10年前開いた「猫の家」だ。絵画や書籍、雑貨―。廊下やトイレにまで館内に所狭しと並ぶグッズはその数3千点以上。今や全国から猫好きが訪れる名スポットになった。
「癒しの場」開館10年
一見すると何の変哲もない建物だが、一歩足を踏み入れると猫好きにはたまらない空間が広がっている。
1階は受付と販売スペース。2階には特別展示室と常設展示室、図書室が設けられ、猫がモチーフの品々がそこかしこに。貴重な原画から菓子袋まで。これら全て広沢さんが長年かけて集めてきたものだ。
きっかけは20年ほど前、仕事帰りに立ち寄った百貨店で英国人作家が描いた一枚の絵を購入して。可愛がっていた愛猫「ジュニア」が亡くなり、寂しさを抱えていた頃だった。可愛らしい作風に気持ちがまぎれる思いがし、以来、方々で猫にまつわる品を買い集めるように。その後「他の人にも猫で癒しの場が提供できたら」と考えるようになり、2007年4月、祖父母が暮らしていた家屋を改装し、オープンにこぎつけた。
開館から10年。今でも足繁く通う人もいれば、中にはわざわざ北海道から訪ねてくる人もいる。
東日本大震災後、被災地を訪れたとき、あることに気が付いた。最初は見ず知らずで距離感があっても、「猫の話が出たとたん例外なく皆さん笑顔になるんですよ」。自然と打ち解け、”猫談義”に花が咲く。それは国が異なる外国人と接していても同じだった。
「垣根を越えて繋がりを持てる。やっぱり猫ってすごいなって思います」。ひとまず10年。ただ、癒しの場作りはまだまだ途上だ。
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開館10周年記念の特別展「猫の浮世絵展2017」があす5日(土)から始まる。江戸―大正期の浮世絵約30点を展示。土・日・月曜開館。入館大人400円。問合せは同館【電話】046・890・0454
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