観光
――『ハルネ小田原』の開業は、観光面にとってどのような効果を生みましたか。また小田原の観光の現状についていかがお考えですか。
「小田原の場合は、発揮しきれていない地域の魅力や可能性を形にすることで、本来のポテンシャルを取り戻していくことが最大のポイントでした。そういう大きな目的が『ハルネ小田原』の再開には込められており、まちづくり応援団やプロモーションフォーラムなど民間の力による、活性化への動きが出来たと思います。
港の方では、水産物の高価値化や6次産業化など地域全体で人を吸引するような取り組みを徹底的にやることで、集客力があがってきました。小田原漁港の周辺は、平日でも車が入りきらないほど盛況です。
天守閣も、昨年はデジタル掛け軸などありましたが、通年で来場客が多かったと感じています。小田原を訪れる人が増えている、という手ごたえはありますが、それが恩恵として市全体に行き渡っているかというと、まだそこまでいっていません。全体の底上げは進んできているものの、来客数の増加が売り上げや収益につながっていくような状態まで持っていくためには、まだまだ手を打たなければならないと思います。
ほっとファイブタウンや宮小路、かまぼこ通りなどで若手を中心に大分動きが出てきましたので、持続可能な商店街作りのため、戦略的な補助金を出して、こういう人たちの動きをどんどん後押ししていきたいです」
小田原城
――今年は耐震工事のため、小田原城が7月から閉館します。観光客の減少が懸念されますが、何か対策はありますか。
「天守閣の耐震化工事は不可避的なことなので致し方ありません。7月から工事をはじめ、約9カ月を要しますが、なるべく早期に開館したいと思っています。観光客は、小田原城に登ることができないから小田原に来ない、ということは無いと思いますが、桜の時季や夏のイベントなど、色々な仕掛けをしっかり打っていくつもりです。例えば天守閣内の収蔵物の一部を、常盤木門展示施設を使い、臨時の展示空間として整備できないか、模索しているところです。
工事期間は天守の姿が見えなくなってしまうことが残念ですが、馬出門からの正規登城口やお堀端の景色などをしっかり見てもらえる様にしていきたいと考えています。なお、小田原に来た人にとって一番小田原らしい景色は、お堀の桜だと思います。ここ数年、小田原白梅ライオンズクラブから桜の苗木を寄贈頂いていますが、このように地元の皆さんの力を借りて、来訪者数をキープしていければと思っています。
地下街『ハルネ小田原』は、小田原にウォーキングや日帰り旅行に来る人の離発着の拠点になっています。まちづくり応援団や小田原ガイド協会にガイドツアーをしてもらうためのインフラも整ってきました。松永記念館、文学館、清閑亭なども観光客を受け入れる態勢ができてきました。すでに小田原の観光は天守閣だけじゃない、というほど充実してきているので、城の閉館は、城下町、宿場町としての魅力を発信し、観光客を増やすチャンスだと思っています。
昨年6月の圏央道開通以来、明らかに車での来客や内陸部のナンバーの車が増えていると感じます。また電車も小田原に乗り入れている湘南新宿ラインに加え、春には東京と上野がつながり、常磐線方面から一直線で結ばれますので、内陸部への観光の呼びかけや小田原駅に乗り入れている鉄道沿線への来客の呼びかけなどを、観光協会をはじめとする諸団体と一緒に行っていきたい。また内陸部の自治体などとも相互に交流人口が増やせるよう協力し、強化していきたいと思います。それがおそらくハルネ小田原や街なかの集客につながると考えますので、焦点を絞って取り組んでいきたいと思っています」