終戦70年を迎える今年、小田原に残る戦争の記憶を、人・もの・場所を介してシリーズで綴る。第9回は、「小田原宿旧本陣古清水旅館・資料館」。小田原空襲の貴重な記録が展示されている。
市内本町のマンション「プラージュ古清水」の一室に、その資料館はある。400年以上に渡って旅人の疲れを癒し、6年前に廃業した古清水旅館跡につくられたものだ。
2階にある資料館には、古清水旅館の看板や従業員用の法被が飾られている。かつて旅館の専務として汗を流した清水修一郎さん(57)は、「清水家の歴史を残すためにつくった。その上で”小田原空襲”は、外すことができない出来事」と話す。
1945年8月15日未明、国際通り周辺にアメリカの爆撃機B29が焼夷弾を投下。炎が燃え広がり、その火は古清水旅館まで達した。屋根や壁は剥がれ落ち、代々受け継がれてきた老舗旅館は休業に追い込まれた。
資料館に掲示された写真=右下=は、空襲から1週間以内に撮影されたもの。旅館の入口で棒を持っているのが16代目の専吉郎さん、修一郎さんの祖父にあたる人物だ。「空襲直後に撮影するという行為は、まわりから非国民と言われたかもしれない。ただ写真からは、もう1度立ち直るんだ、という気骨の強さが伝わってくる」と修一郎さん。父・伊十郎さんは当時、ニューギニアへ出征。終戦後、伊十郎さんが帰還できるという情報が入り、16代目はすぐに再建に着手、部材集めに奔走したという。
戦後、再スタートを切った古清水旅館。黒い焼け跡が克明に残された階段は、そのまま使用。戦争を体験していない修一郎さんも、幼い頃からその階段を見て育った。そして、自身の子どもにも焼け跡について説明してきた。階段が語ることはないが、戦争の記憶は脈々と後世に受け継がれている。
資料館には、当時の写真と階段・廊下を展示。開館時間は午後1時から5時。水曜休、入館無料。来館時は要事前連絡。(問)清水さん【携帯電話】090・1538・4589
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