小田原・箱根・湯河原・真鶴版
公開:2015年6月20日
エリアトップへ
「あそこですばしっこく泳いでいるのはミズスマシ。これはヤゴかな」と、無農薬栽培にこだわる田んぼを少年のようにのぞき込む。
大学入学を機に、生まれ育った海辺の街を離れ東京へ。都会暮らしで無性に恋しくなったのは「水のある生活」だった。血気盛んで「体を動かさないとイライラする」こともあって水泳を始め、仲間に誘われてトライアスロンサークルにも入った。充実した生活も、「すごく体力を消耗するけれどそれも自己満足。エネルギーを有効に使わないと」と考えたのは、いかにも物理学専攻の学生らしい。
全国的な農家の若手後継者不足を知り、農業に興味を抱いたのもその頃。潜水士の資格を取得し、いったんは海洋調査会社に就職したが、農業への関心は高まるばかり。そして10年程前から「好きなことを仕事に」と、明治時代から続く実家の米穀店で働きながら米づくりにも精を出す。
サーフィンから生け花まで、幅広い趣味の共通点は「水」。「田んぼも同じ。魅力は透明感」と語る瞳も透き通っている。