関東大震災から90年―― 松原消防署長インタビュー 「最も危険なのは火災だ」
9月1日は「防災の日」。明日から9月5日までの一週間は「防災週間」として、全国で防災イベントや広報活動などが行われる。
そこで本紙は、松原正之神奈川消防署長に関東大震災を振り返ってもらうとともに、今区民がすべきことや神奈川区の現状と同署が取り組む対策についてインタビューを行った。
――9月1日、関東大震災の発生から90年が経ちます。区民が今一度考えるべきことを教えてください。
「東日本大震災で甚大な被害を及ぼした津波も放っておけませんが、横浜で最も危険なのは『火災』です。関東大震災で旧横浜市のおよそ半数の家屋が全半壊し、かまどからの出火などにより火の海と化しました。東日本大震災の死者・行方不明者は約1万8千人ですが、関東大震災では横浜市だけで約2万7千人もの市民が尊い命を落としています。
震災後、横浜市は防火水槽の設置や消防の強化などに取り組んできましたが、区民の皆さんには『自然災害は必ず起こる』と認識し、自分たちの力で自分たちを守る意識を日頃から持ってほしいのです。災害時、私たち公設の消防だけでは手が足りません。阪神・淡路大震災では、地域の消防団と住民が消火活動で活躍しました。『身の安全』『火の始末』『ご近所との協力』がカギです」
――神奈川区の防災活動の現状と消防署による対策を教えてください。
「神奈川区は、地震被害想定で市内ワースト。そのため、市内で20カ所を対象に初期消火箱の設置補助を行うという市の事業に、神奈川区だけで9カ所の自治会町内会が申請している点で防災意識の高さを感じました。こうして区民の皆さんも頑張っているので、私たちも防災減災を呼びかけるだけでなく、応えていかなければなりません。
今回、90年前に起きた関東大震災がどれだけのものだったのかを署内で学ぶことにしました。自分たちが知っているからこそ、皆さんに想いを伝えられると思います。また、11月までに区内の木造密集地域を消防署・消防隊・消防団で調査し、今年度中に該当地域での防災訓練を行う予定です。住民同士の力が発揮できる消防団員も増やして、皆さんと一緒に災害に強いまちにしていきたいです」
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