神大寺 「鉄道模型」で67年 マニア御用達の製作所
「稲見鉄道模型製作所 ココ」と書かれた電柱広告の先に現れる、ごく普通の一軒屋。神大寺にある自宅の作業場で、2代目の稲見行雄さんが黙々と鉄道模型のパーツを作っていた――。
同製作所は、45分の1スケールのO、OJゲージ規格を専門とする数少ない製作所として、完成品から部品までを受注生産している。12台ある加工機械を駆使して、鉄道模型マニアに依頼された車両や部品を製作。中には0・01㎜ほどの小さな部品もある。
創業したのは1946年。通信兵として兵役から帰ってきた稲見さんの父が開業した。当時はアメリカ兵向けの模型を生産。30年ほどアメリカに輸出もしていた。
幼い頃から兄弟と父の手伝いをしていた稲見さん。大学卒業後に父のもとで働き始めた。駒場・大倉山を経て15年前に神大寺に製作所を移した。30代後半〜90歳近い人など、全国から依頼が舞い込む。本や写真集、依頼者の意見をもとに製作するが、長いもので4年近くかかるものもある。
「ゼロから始めて完成まで見届けられる『トータルの仕事』にやりがいを感じる」。要望に応えるのは大変だが、その中で満足のいくものを作ることが醍醐味だという。稲見さんは「OゲージやOJゲージがもっとメジャーになり、鉄道模型を通して作る楽しみを提供したい」と話している。
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