神奈川県全域・東京多摩地域の地域情報紙

  • search
  • LINE
  • MailBan
  • X
  • Facebook
  • RSS
神奈川区版 公開:2021年1月1日 エリアトップへ

白首窮経 90歳で博士号 白井正子さん 神大大学院で

教育

公開:2021年1月1日

  • X
  • LINE
  • hatena
「まだ研究は一歩踏み出したばかり」と、今後への意欲を見せる白井さん
「まだ研究は一歩踏み出したばかり」と、今後への意欲を見せる白井さん

 区内に住む90歳の白井正子さんが昨年、16年にわたる研究課程を経て神奈川大学大学院歴史民俗資料学研究科で博士号を取得した。東北や北陸地方を中心に、神社に見られる拝殿「長床(ながとこ)」に関する研究を続け、度重なる現地調査の末に古くから伝わる伝統神事をその目で確かめることに成功。たゆまぬ研究の成果を、350ページに及ぶ博士論文にまとめ上げた。

73歳で院生に

 白井さんは、一級建築士として設計の仕事に携わる中で重要文化財などの建造物に対する関心が高まり、背景にある歴史や人々の暮らしについて理解を深めようと約20年前から民俗学を学び始めた。2004年には73歳で神奈川大学大学院に入学。4年間で歴史民俗資料学の修士課程を修めると、研究生を経て同大学院の博士課程に進んだ。

知られざる伝承解明

 神社にある建造物「長床」の存在を知った白井さんは、修士課程時代から論文の研究テーマとして取り上げてきた。しかし、損壊しかけた長床を地元住民が復元したという話は伝わるものの、詳しい史料は残されていなかった。

 博士課程に進むと、意を決して福島県喜多方市や福井県小浜市などでの本格的な現地調査に乗り出した。長床があったとされる場所すら見当がつかない中、住民から話を聞くためにバスも通らない道の先にある集落に通い詰めたという。

 調査の末、長床で行われていた伝統神事の存在を突き止めた。数年後には小浜市の若狭神宮寺で行われている「お水送り」と呼ばれる儀式を実際に目にし、同寺の水が奈良県の東大寺二月堂の水取りに届く言い伝えを知ることができた。

未知への探究、力に

 白井さんは「地元の方が守ってきた文化は忘れ去られたように見えても大切に受け継がれ、ある時パッと世間に出てくることがある」と語る。「世間一般に知られていない未知の分野であり、誰もやっていないことだからこそ、飽きることなく学び続けられた」。長年にわたる研究課程は終わったが、白井さんの”知の探究”はこれからも続いていく。 
 

神奈川区版のローカルニュース最新6

新港ふ頭で4月28日、5分間の花火

新港ふ頭で4月28日、5分間の花火

「横浜スパークリングトワイライト」

4月27日

横浜市内事業所 男性の育児休業取得率 前回から大幅増の40・6%に

国の重要文化財、神奈川県庁本庁舎が5月3日に5年ぶり一般公開

アートで社会課題を表現

EduArt

アートで社会課題を表現

区内児童の作品も多数

4月25日

最上階施設の開業日決定

鶴屋町高層ビル

最上階施設の開業日決定

6月20日 イベントホールなど

4月25日

非常用トイレ備えて安心

自宅便座に簡単設置

非常用トイレ備えて安心

マンションで逆流トラブル

4月25日

意見広告・議会報告政治の村

あっとほーむデスク

  • 4月18日0:00更新

  • 2月29日0:00更新

  • 2月15日0:00更新

神奈川区版のあっとほーむデスク一覧へ

イベント一覧へ

コラム一覧へ

神奈川区版のコラム一覧へ

バックナンバー最新号:2024年4月27日号

もっと見る

閉じる

お問い合わせ

外部リンク

Twitter

Facebook