先天性代謝異常症 新生児に新検査法 横浜市が10月以降に導入
横浜市は現在実施している新生児の先天性代謝異常症などの検査に、この10月以降新たにタンデムマス法を導入する。これまで以上に将来、重大な病を発生する恐れを持つ疾患の早期発見・治療が出来る期待が高まる。タンデムマス法(注)導入により、現行の6疾患から19疾患が判明する内容に拡充される。検査方法はこれまで同様、生後5〜7日の間に新生児の踵(かかと)から少量の血液を採取する。
先天性異常症などを持った乳幼児は、生まれたときは健康に見えても放っておくと知的障害を発生したり、場合によっては命の危険にさらされる恐れもある。新たな検査法が導入されることは、「子どもを健康に育てたい」と願う保護者の考えと一致するものだ。
今年度予算で「先天性代謝異常症等検査事業・拡充」として約7000万円が計上されており、市内で出産した場合は検査費は無料。ただ、いわゆる「里帰り出産」は対象外となる。
早期発見に期待
横浜市ではタンデムマス法を2008年から南区にある市民総合医療センターで先行実施し、これまでに1000人を超える新生児を検査している。昨年からは金沢区にある市立大附属病院でも始まっている。
そんな中、今年3月、国から同法のさらなる推進を求める通知が都道府県と政令指定都市にあったことから、神奈川県では横浜市医師会などを含む検討委員会を設置し、議論を続けてきている。今回横浜市のほか、県、川崎、相模原各市も同時導入が決まっている。
市こども青少年局こども家庭課では「早期発見し、適切な治療をすることで、病気の発症を防いだり、症状を軽減できる可能性は高まる」としている。
都筑区在住の柏木明子さんは、自身の子どもがタンデムマス法の対象疾患の一つで発症したことから、同法導入を推進しており、「先天性代謝異常症のこどもを守る会」の代表を務めている。昨春には林文子市長との「ハヤシランチミーティング」でも普及を要請してきた。「行政には検査で陽性が出た子どもを長期間に渡って見守ってほしい。その子どもは病気と一生付き合い、治療していかなければならない。成人になると医療費を自己負担する問題も出てくる」と柏木さんは話している。
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