連載寄稿 イルカ博士の生命感動日記 【14】共感能力と笑わない赤ちゃん?
最近、米国のテキサス工科大学の人文学研究室で赤ちゃんの思考を解明するための実験が行われました。その結果、今までは、赤ちゃんは単純に母親を見つめ、手足を動かすだけの無力な存在と見られていましたが、1歳未満で言葉を話す前の赤ちゃんでも嫉妬や共感、欲求不満といった複雑な感情をマスターしていることがわかりました。その観察能力は大人をはるかに超えているといわれます。
赤ちゃんにも利他主義(他者に対する共感など脳)があります。たとえば、泣いている赤ちゃんの横に新生児を置くとおそらくすぐ泣き出すはずです。そんな経験をされたお母さんもおられるでしょう。なぜ泣き出すのでしょうか?それは動物行動学からみると、敵対行動と親和行動があるように仲間を心配しているのか、それとも騒音にいらだっているのか。さらに共感の度合いは、成長とともに泣き出す表現から自ら泣いている子を慰める行動へと変わることがわかってきました。こうした共感能力は周囲の環境と人の表情から、感情を出して見分ける力です。「いないいないばあ」も怒った顔でするよりも、できるだけ喜んで楽しくする方がよいというわけです。人見知りの赤ちゃんも育て方次第で変わるといわれます。最近の赤ちゃんに笑わない赤ちゃんが増えたとか、周囲の人の感情が分からないという話は、私たち大人の側に問題があります。
赤ちゃんの心は白紙ではなく胎内にいるときから、祖先から遺伝的に持っています。新生児の脳神経回路は未熟ではなく驚くほど高度に発達していることが最近明らかになってきました。
【日本ウエルネススポーツ大学特任教授・岩重慶一
(問)【メール】iwashige@gmail.com】
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