高校卒業後の障害者の余暇を過ごす居場所づくりに取り組む「成人の第3の場を求める会」が横浜市に支援を求める署名活動を実施する。
同会が提唱する「第3の場」とは、家でも職場でもない、仲間と余暇を過ごすための居場所を指す。学齢期の障害者には、2012年から夕方や休日の余暇を過ごす居場所として「放課後等デイサービス」が始まり、区内でも施設が複数開所している。だが、高校を卒業した障害者は作業所での就業後、余暇を過ごす場がなくなり、自宅で過ごすことが多くなるという。
帰宅時間が3時や4時になることで、家族が介護のために仕事を辞めざるをえないケースもある。自身も息子の就労後のケアのため、続けていた仕事をやめ、短時間の仕事に転職した同会の高橋友子さんは、「家族の負担が増えるだけでなく、本人にとっても仲間と過ごす息抜きの場がなくなるのはさみしいこと」と話し、支援の必要性を訴える。
同会事務局の金子恭己さんは、制度に先駆け、NPO法人いずみ苗場の会が開所した日中一時支援事業所「がじゅまる」で支援を行っている。「何か作りたい、本を読みたいというちょっとしたことでも、その材料や本を1人で買いに行くことができないなど、何をするにも支援が必要な人もいる」と話す。外出支援(ガイドヘルパー)を利用する手もあるが、重度の若い男性の場合、ヘルパーの専門性や体力面の課題もあり、対応できる人が少なく利用したくてもできない場合もあるという。
川崎では需要66%
同会では6月に横浜市との話し合いを行ったが、市ではニーズの把握ができておらず、会の思いや実情を伝えるのみに留まり、進展がなかったという。一方、14年から同会と同様に「夕方支援の充実」を求める活動が行われてきた川崎市では、昨年5700人の署名と共に提出した請願書が市議会で採択され、今年1〜2月に市が実態を調査。障害者家族の66%が何らかの支援を希望していると分かっている。
同会は「横浜市でも同様にニーズはあるはず。放課後デイが普及してきたことで学齢期にあった支援が卒業後になくなると、保護者は特に負担を感じるのでは」と話す。
今回の署名活動では、まずは具体的な制度化を請う内容ではなく、横浜市に積極的な支援を求めるもの、市から国へ支援についての意見書提出を求めるものの2つの内容で陳情する。署名は今後、関係各所での活動に加え、来年2月に泉公会堂会議室で行う集会でも実施予定。
署名に協力したい人は、事務局の金子さん(つぼみの広場内)【電話】045・800・5761へ。
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