反町駅近くで靴の修理を行う「ハドソン靴店」は、創業した昭和30年代当時のレトロな風情を残す佇まいで親しまれる。
2代目店主の村上塁さん(37・三ツ沢下町在住)は、大学を卒業した後に進んだ靴の専門学校在学時代に、修行先の1つとしてハドソン靴店の初代店主・佐藤正利さんに師事した。
佐藤さんは横浜で活躍した靴職人で、吉田茂元首相や石原裕次郎など名だたる著名人の靴も手掛ける腕利きの職人として知られた。「靴作りに欠かせない基礎を叩き込んでもらいましたね」と村上さん。2年ほど腕を磨き、昔ながらの靴の底付けの方法などを習得した。
一生の付き合いを
子どものころからブロック玩具遊びや図工、美術の授業が好きで、細かな手作業が得意だった。大学生の時にテレビ番組で見た手縫いをするオーダー靴職人の姿に魅了され、靴職人の道を歩みたいと決意。切る・貼る・削るといった様々な造形要素が求められる靴作りは、「飽きっぽい性格の自分にぴったりだった」と話す。
店を継いで10年の節目となる今年、新たな夢の実現に舵を切る。靴の製造から販売、修理などのメンテナンスまで自社一貫で行う新ブランド「HUDSONS」を立ち上げる。店舗から100mほどの場所に10月にオープンする新店舗で扱うのは、薄いカーボン材入りの革製シューズ。適度な反発がスムーズな歩行をアシストし、1モデルに付き152サイズという膨大なサンプル展開で、一人一人にフィットする靴を提供する。
「こだわりは日本人らしさを生かした『引き算の美学』。靴の本場である欧米に認められるには日本のアイデンティティーを取り入れていかないと」。機械化による大量生産の商品が溢れる現代に、村上さんは「作った靴の面倒を一生見続ける」というものづくりの気概を貫く。
靴のサンプル制作に向けて6月末までクラウドファンディングで資金を募っている。【URL】https://readyfor.jp/projects/hudsonkutsuten
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