県社協のサポート事業 社福が困窮者支援 8月から 市内では2法人
生活困窮者に対する総合相談や経済支援を目的に、神奈川県社会福祉協議会(県社協)では、今年8月から「かながわライフサポート事業」を開始した。事業の実施主体は県社協だが、活動にかかる必要経費や人材確保は参加する県内の社会福祉法人(社福)が請け負っている。市内からは現在、2法人が参加。今後、さらなる参入の拡大が期待される。
同事業は、生計苦や障害、虐待、就労の問題など、生活に困窮している要支援者に対し、専門的な知識や相談技術を持ったコミュニティソーシャルワーカー(CSW)が総合相談や経済支援を行うというもの。
事業にかかる費用は参加法人が拠出し基金を設置。またCSWは、各法人が運営する施設などに勤務する職員が研修などを受けたうえで、通常業務と兼務する。
県社協や各法人に寄せられた情報をもとに、近隣地域の法人のCSWと県社協のライフサポーターが要支援者を直接訪問。状況に応じて生活保護や介護保険など既存制度の活用に結び付けていく。就労などへの自立支援も行う。また、経済的支援が必要とCSWが判断した場合、現金ではなく食材の提供や家賃補助、通院支援などの”現物給付”により対応する。
2011年、県社協の組織「経営者部会」内で社会福祉法人のあり方について話し合う中、「社福創設時の原点に立ち返り、目の前の困っている人を支える活動を」との声があがった。そこで、大阪府社協老人福祉施設部会が04年から取り組んでいる「社会貢献事業」をモデルに新事業を模索。準備を重ねて今年8月の開始に至った。
参加法人は12月2日現在で32法人。これまでに県社協に約40件の相談が届いており、うち18件でCSWによる支援が開始したという。
自立に結び付く
市内からは「相模福祉村」(中央区)と「たちばな福祉会」(南区)の2法人が参加。相模福祉村の赤間源太郎理事長は「オール神奈川・全種別で展開し、本来の社福の使命を果たしていきたい」と思いを語る。また、たちばな福祉会の坂本理事長は「今後参加法人は増えていくのでは」と期待を込める。
今年10月末、相模福祉村の職員でCSWを兼務する浜野今日子さん(38)は、県社協からの連絡を受け、定職に恵まれず賃貸住宅からの退去を強いられた男性のもとを訪問。自立に向け必要な資金補助などを行い、男性を就労へと支援した。「男性の『生きていて良かった』という呟きが印象に残っている」と浜野さん。赤間理事長は「まさに自立へ結びつけることができた事例」と話す。
一方、今後の課題として赤間理事長は、事業の周知やCSWの専門性向上、参加法人の拡大、行政など関係機関との連携強化などを挙げた。同事業に関する問合せは相模福祉村【電話】042・764・1110へ。
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