このシリーズコラムでは、相模原の司法の現状と課題について、市にゆかりのある弁護士が解説する。第1回はコラム開始にあたり、大谷豊氏が担当。
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昨年8月17日、本村賢太郎相模原市長は、横浜地方裁判所本庁舎を訪れました。市長に就任して以来2年続けて、横浜地方裁判所所長に陳情するために来ているのです。今年は新型コロナウイルス感染拡大の真っただ中でありながら、市長が自らが陳情に赴いているのです。
待望の裁判所新設
相模原市の地域の人たちに対して司法アクセス・司法サービスの充実を図る一環として、横浜地方裁判所の支部が設置されたのは1994年4月でした。相模原の中心に位置する市役所近くにある、横浜地方裁判所相模原支部です。
行政改革により裁判所の統廃合が全国的に進められている中、北海道の苫小牧とこの相模原の2か所だけ、裁判所の新設が認められて設置された同裁判所。これは相模原の地域住民に多大な期待を持たせてのものでありました。
もっとも、横浜地方裁判所相模原支部の扱う事件の地域は、相模原市に限らず、座間市にも及んでいます(設置当初は、相模原市、座間市、津久井郡津久井町・城山町・相模湖町・藤野町の津久井4町でした)。
課題は「合議制」
ところが、横浜裁判所相模原支部の実際の運営は、相模原地域住民の期待を裏切るものであり、それが現在も続いているのです。それは、地域住民にとって関心の高い殺人や強盗傷害事件、また民事紛争で言えば、医療過誤事件や複雑な事件など、裁判官が3人で慎重に審理を進めていく合議制が行われていないのです。
そのため、本村賢太郎市長は直接、横浜地方裁判所の所長と面談して、横浜地方裁判所相模原支部においても合議制の審理をしてもらうよう赴いたのです。
本村市長は今後も横浜地方裁判所相模原支部で合議制が実現できるまで、何回でも直接赴いて陳情すると言い、相模原地域住民の司法アクセス・サービスの充実の実現に向けて活動していく約束もしています。
次回は、相模原市に横浜地方裁判所相模原支部ができるまでの歴史について紹介いたします。
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