多摩ニュータウンの一角でパラ卓球選手の育成を目指す 新井 卓将さん 川崎市在住 43歳
新しい「可能性」生む
○…この春まで、パラ卓球の全日本監督。そして次の挑戦に選んだのが障害者と共に卓球サロンの運営にあたることだった。これまで縁のなかった多摩ニュータウンでの仕事でも「誰もやったことがないこと。おもしろそう」と手を挙げ、スタッフとして働いてもらうなか、選手を目指す障害者を支援していきたいと考える。「困難と思える道こそやりがいがある」。自身の指標だ。
○…卓球の新しい可能性を示してきた。川崎市で自身の卓球スタジオを運営しつつ、ピンポンパフォーマーとして卓球に関する様々なテクニックを開発し動画で披露しているほか、五輪選手と行った1分間高速ラリーの回数はギネス記録に。そんな唯一無二の存在もパラ卓球に関わるようになると障害者スポーツに惹きつけられた。「障害といっても様々なケースがある。一人ひとりに合った形で指導できるのが楽しい」
○…自身も障害がある。コーチ業をスタートさせた20代前半、交通事故で利き手である右手が思うように動かせなくなった。しかし、めげずに麻痺が残る右手にどんなスタイルの選手にでも指導できるよう「型」を覚え込ませた過去がある。「現役時代に実績がない分、説得力を増すために必要なことでした」。卓球のない人生は考えられない。そんな思いが常に根底にはある。
○…今回の卓球場開設によって集まった障害のある人たちに伝えたいことがある。「自分なんかできない」と自身で可能性を狭めるな、ということ。パラ選手の指導にあたるなか、そう考える人が少なくなかったといい、新しい場では地域に支えられるのではなく、障害者がみんなを盛りあげられるようにしていきたいと意気込む。「新たな事例を生み出したい」
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