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多摩 人物風土記

公開日:2022.12.01

共生スポーツ「ボッチャ」の元日本代表選手で競技の普及に取り組む
山下 智子さん
鶴牧在住 43歳

姉御肌 皆の「壁」取り除く

 ○…先天性の脳性麻痺があるなか、身体が動かなければ口でボールを転がしても良い――。そんな点に惹かれ、ボールを目標球に近づけることを競うボッチャにのめり込んだ。30年近く前に初めて開催された日本選手権で優勝。第一人者として活躍を続け、東京パラリンピックが近づくと催しでプレーを披露するなど多摩市内でも競技普及のための役割を担った。「多くの方に競技を知ってもらいたいですね」

 ○…20歳の時から、自立生活を送る。介助者と共に重度障害者へ介護者を派遣する会社を立ち上げ、自身の原動力と話すJリーグチーム「東京ヴェルディ」の応援のため、全国各地を訪れる日々を送ってきた。コロナ禍となってからは一切外出せずに感染予防を心がける毎日だが、オンラインでゲームイベントに参加するなど、これまで通り、困難を「何でもないこと」として乗り越える。

 ○…ヴェルディ愛は本物だ。Jリーグが開幕してすぐ「おっかけ」に。チームの成績が低迷してからも練習場や試合会場を訪れては選手を応援し、ヴェルディがバリアフリーの進んだチームになることにもひと役買ってきた。「私がもっと練習や試合を見やすくしてと頼んできたんですよ。今や一番理解があるチーム」。そんな姿を見て逆にファンとして慕ってくれる選手は多い。

 ○…ボッチャが市内でも浸透するなか、気になるのが、「障害者も参加できる」という募集記事の言葉。元々、障害者向けのものだったはずと頭を傾け、「健常者も」の間違いではと指摘する。根底にあるのはバリアフリーという言葉は要らないという思い。「そもそも障害の有無で壁なんか存在しないんですよ」。姉御肌。自ら動き、皆の心を変えていく。

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