市内各イベント 自粛ムードはねのけ準備 資金、資材、電力…難題山積も
東日本大震災が発生して以降、市内各地で開催予定だったイベントの規模縮小や中止が相次いだ。夏にかけ予定されている各イベントへも影響しているが、開催へ向け関係者らの努力が続いている。
震災の影響を最初に受けたのが「日米親善よこすかスプリングフェスタ」。米軍の艦船が被災地へ向かうなど、開催が不可能なため中止となった。その後も、計画停電や市民の心情への配慮という理由で、市内各所で予定されていた桜まつりのすべてが中止・規模縮小となった。震災直後はこうした”不可抗力”による中止・縮小の動きが目立った。
一方、近隣の市町村では、横浜スパークリングトワイライトと逗子海岸花火大会(ともに例年8月開催)が、「被災地の状況を考慮」して早々に中止が決定されるなど「自粛ムード」が漂っている。しかし、市内各イベントを主催する市商業観光課では、「5月以降のイベントは基本的に開催の方向」で動いているという。震災で経済の停滞が懸念される中、イベントを開催するほうが市民や被災地のためになるという考えだ。
ただ、同課が「予想以上に震災の影響が広がっている」とこぼすように、開催へのハードルは少なくない。「よこすか開国祭」を例に取れば、まず花火を打ち上げる台船が確保できるめどが立っていない。被災地で運搬などに使用されているためだ。また、簡易トイレの多くも被災地で利用中だったり、電力不足で鉄道各線が増発できない可能性もあるなど、見物客を受け入れる体制が整わないという側面もある。
そして、イベント開催に不可欠な協賛金にも影響が出ている。取引先の被災や、消費者心理の冷え込みで、企業や商店へも影響が出ているからだ。7月に開催予定の「久里浜花火大会」は、昨年中から資金不足のため募金活動を実施。主催する久里浜観光協会によると、開催できるかどうかはまだ決定していないという。
それでも市内では、イベントに対して積極的な動きが広がっている。桜まつりが中止になった衣笠山公園では、節電の影響が残る中でも多くの人出があった。被災地を思ってか、純粋に観桜を楽しむ様子が見られた。5月開催の「よこすかカレーフェスティバル」「咸臨丸フェスティバル」は、吉田市長自ら予定どおりの実施を指示。やや調整に時間がかかっているものの、「例年並みに開催できそう」(同課)だという。とくにカレーフェスティバルでは、仙台市や会津若松市からの出展ブースで被災地の商品を販売するほか、会場では義援金を募るなど、復興支援にもつなげる意向。
全国に広がる「自粛ムード」の中、イベントを通して横須賀から元気を発信し、被災地への支援につなげようというこの動き。様々な懸念はあるが、関係者らの奮闘は続く。
|
<PR>
|
|
|
|
|
|