「遠足」需要を呼び込め 団体集客に猿島 官民連携のアプローチ
観光集客による地域活性に取り組む横須賀市は、民間事業者との連携で団体旅行客の獲得に積極的な姿勢を示している。定番スポットの猿島、記念艦三笠に加えて、昨年開設したうみかぜ公園のバーベキュー場などを活用して、「遠足・修学旅行」「観光バスツアー」などのニーズを取り込みたい考えだ。民間のアイデアとノウハウもフルに取り入れて、団体集客の底上げを目指す。
旅行会社大手のJTB首都圏横須賀支店は、猿島航路のトライアングルと協力して「無人島デイキャンプ IN 横須賀」と名づけたパッケージプランを開発した。昨秋から県内の学校にアプローチを開始したところ反応は上々。先の震災でキャンセルになった学校もあるが、この春は10数校から引き合いがあったという。
自然の宝庫猿島でバーベキューと自然散策を楽しみながら1日を過ごす内容は、「ネイビーバーガー」「横須賀魚市場直送」「よこすか海軍カレー」の3種のプランから選べる。いずれも当地の食材と食文化を切り口にした市の公認企画となっている。オプションで横須賀商工会議所が商品化を手掛けた獲れたての魚をその場で味わう「地曳網体験」、米基地の住民がホスト役となって英会話を親しむ「交流体験」など、地域色を活かしたユニークなプランも用意している。
多様化する旅行ニーズにあって、「”ほかでは味わえない”が誘客のキーワードになっている」とJTBの鈴木守さん。「要塞として機能した猿島は、平和学習の教材としても役立てることができる。(修学旅行で)広島・長崎に訪れるケースなどがあるが、その前段として、記念艦三笠も含め、近代の戦史を連続して学ぶことが可能」と話す。日米の艦船を船上から眺める「軍港めぐり」が観光として一般化したこともあり、教育現場にかつてあった戦争遺産や自衛隊施設に対するアレルギーも薄まりつつあるという。
トライアングルにとっても春と秋に集中する「遠足」は、格好の営業対象だ。夏場のピーク時は平日で600〜700人、休日ともなれば2000人に達する猿島来島者も閑散期となる春と秋は多い日でも100〜200人程度といった具合で、対策が必要となっていた。平日の客足を伸ばすことができれば、年間来島者数の大幅増加が見込める。
同社営業担当の大森英一郎さんは、「遠足で訪れる子どもたちは、将来のリピーター予備軍。横須賀での楽しい思い出を持ち帰ってくれれば再来訪してくれるはず。数値化できないがブランドイメージの向上にもつながる」と大きな期待を口にした。
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