浸水予測 市内陸部にも 県が津波浸水予測図の素案公表
神奈川県は8日、新たな「津波浸水予測図」の素案を県ホームページなどで公表した。県では、3月11日の震災で発生した津波被害を受け、「津波浸水想定策定部会」を設置。現況の津波浸水予測を再検証し、このほど素案としてまとめられた。従来の想定よりも対象の幅を広げ、「慶長型」「明応東海型」「元禄関東連動型」の地震による津波想定を追加。横須賀市でも内陸まで浸水が及ぶと予測している。
3月の震災時、横須賀市内でも津波の避難勧告が発令され、避難所で一夜を明かした人もいた。市内河川も水位が大きく上がるなど、津波に対する不安を抱えた人も多かった。そうした中で、横須賀市を含む相模湾沿岸の市町では早急な見直しを県に要請していた。
今回まとめられた「津波浸水予想図(素案)」は、過去に地震・津波被害が圧倒的に大きかったと考えられる歴史地震の震源域について考慮し、「最大クラスの津波」を追加して想定。沿岸部を津波の浸水が予測される区域を22に分けている。横須賀市域では「葉山町・横須賀市久留和漁港・秋谷漁港周辺」「佐島漁港・長井漁港・北下浦漁港周辺・三浦市北部」「久里浜港〜鴨居港周辺」「走水港〜横須賀新港周辺」「横須賀本港〜長浦港周辺」の5地域が該当。そのうち、東京湾側は「海岸堤防背後が平地となっており、浸水が生じた場合、著しい被害が懸念される」という理由で選定。相模湾側は、「入り組んだ複雑な地形であることに加え、切り立った崖の全面や海浜背後の低平地に家屋があり、浸水被害が懸念される」と特徴的な地形を挙げている。
今回の素案の中で、横須賀市域で最も大きい影響を及ぼすと想定されるのが、「慶長型地震」の津波。この地震の揺れはあまり大きくなくても津波が大きい地震(津波地震)として知られており、横須賀市内では平均で最大8mの高さを予測している。浸水深では、5m以上となる場所もあり、従来の想定よりも浸水範囲が大きく広がっている。
来年3月に確定版
県では、この素案を基に来年3月までに、到達時間や、より分かりやすい予測図を盛り込んだ確定版を作成する予定。「想定外というものをなくすために、考えうる最大クラスの津波を想定した」と担当課。これらを「該当自治体でのハザードマップ作成や避難対策に活用してほしい」と話す。
横須賀市では現在、津波対策として、南関東地震の津波を予測したハザードマップのほか、標高マップなどを作成している。市民安全部では「他の想定される津波に関しては確定版が出てから、今後の形を考えていきたい」と話している。
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