横須賀共済病院 分院を完全統合へ 旧北部共済、医師不足と老朽化で
船越町の横須賀共済病院の分院が、来春を目途に本院(米が浜通)と統合されることになった。慢性的な医師不足と建物の老朽化などが大きな理由。現在は初診の受付を休止しており、入院患者は60人前後。同院では今月中に、地元町内会役員に対して説明会を行う。
100年の歴史に幕
横須賀共済病院分院は、1914年に横須賀海軍工廠の長浦職工共済会病院として開設され終戦後、横須賀共済病院長浦分院と改称。田浦共済病院として独立し、1987年には北部共済病院と名称変更しながら、地域医療の拠点として親しまれてきた。2009年には経営悪化に伴い、横須賀共済病院と統合し分院化。本院を急性期の医療を専門とし、分院では慢性期医療に特化して、本院で病状が安定した患者を分院で受け入れるなど、両院で役割分担を進めていた。さらに、病床や医師・看護師を減らし、診療科目を縮小するなどして、経営効率化に努めていた。
しかし、慢性的な医師不足もあり、2011年には、分院の廃止を検討。市の要請を受けて診療を続けていたが、慢性的な赤字を解消できず、本院の経営に影響が出ると判断し、来年度の完全統合を決断した。また、施設の老朽化で「建物の維持・修繕という面でも、今後の見通しが難しい」という現状もあった。
横須賀共済病院の長堀薫病院長は「船越・田浦地区独特のアットホームな雰囲気で個人的にも愛着のある病院。老朽化や医師不足など負担が山積している状況で苦渋の決断だった」と話す。三浦半島地域の医師会や地元町内会には既に報告しており、8月22日には改めて地元の連合町内会役員に説明会を行う予定。
職員の雇用も継続
現在は、初診での診療は行っておらず、外来の患者は1日に15人程度で、入院患者は1日平均60人前後。今後は、来年4月に入院病棟を閉鎖し、外来は6月を目途に休止する。入院患者に対しては、別の医療機関を紹介するほか、本院の病床を20床増やして対応する。訪問看護ステーションについては、本院に機能を引き継ぎ、サービスをさらに強化していく。現在勤務する医師・看護師ら職員(96人)に関しては、本院勤務にするなど、雇用も継続させる。
地元住民「寂しい思い」
名称を変更しながら今年で開院100年を迎えた同院。院内ボランティア活動も活発だった。外来の案内や車いすの介助、院内ギャラリーの展示、移動図書室、介護用品の繕いなど、登録ボランティアが25年に渡り活動してきた。閉鎖後の予定は決まっていないが、「活発な活動に助けられてきた。本院でも継続してほしい」と長堀病院長。船越地区の早川吉彦連合町内会長は「地域で長く親しまれてきた病院だけに、寂しい思いがある」と話している。
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