横須賀市議会は11月28日の第4回定例会で、超党派の議員提案による「横須賀市観光立市推進条例」を全会一致で可決、制定した。人口減や産業の低迷で冷え込む市内経済を、観光資源の利活用により活性化させる。施行は来年4月を見込んでいる。
平成12年をピークに減少を続ける市内人口は11月1日現在、約40万7千人。加えて戦後から産業基盤だった製造業の相次ぐ撤退で地域経済が低迷。活性化が喫緊の課題となっている。こうした背景から、全市を挙げて観光を市内経済の中心軸に育て、産業振興を図ろうと「横須賀市観光立市推進条例」が制定された。
同条例のもとになったのは、観光を切り口に地域活性化をめざす市民グループ「横須賀・三浦半島を元気にするプロジェクト」が行った政策提言。市民や市内事業者が観光シーンを盛り上げていくなかで、中・長期的計画や条例など行政の明確な道筋が必要との意見から、「観光立市推進条例・民間案」を作成。今年6月に市議会議長へ提出した。
その後、公明党の発議で新政会、自由民主党、無所属クラブ、研政、日本共産党などが会派を超えて参加。条例の制定に向けて議論を重ね、同プロジェクトを交えた意見交換会も行われた。10月中旬まで素案に対するパブリックコメントを募集し、市民の意見などを集約。先月28日に行われた市議会第4回定例会に提出され、全会一致で可決された。超党派による政策条例は横須賀市議会では初。
同条例検討メンバーを代表し、提案説明をした岩沢章夫議員(公明党)は「地域を良くしようという気持ちは全議員同じ。地域創生の大きな一歩だ」と話す。同プロジェクト代表の川口泰弘さんは「条例を契機に観光が今後の成長産業となり、埋もれている魅力を再発掘する力になる」と行政の積極姿勢に期待を寄せる。
観光担当課を新設
同日の本会議で行われた一般質問で青木哲正議員(新政会)から条例に関する質問があり、観光産業振興への見解を吉田雄人市長に求めた。これに吉田市長は「減少する市内消費を補う必要があり、観光を基幹産業に育てるべき」と述べ、条例施行予定の来年4月に合わせ、新たに”観光担当課”を経済部内に設置すると明言した。
同条例の運用にあたり、観光事業者や有識者などで構成される「横須賀市観光振興推進委員会」を設置。今後、観光振興に関する方針や目標、施策が記されたマスタープラン「観光立市推進基本計画」を策定していく。
折しも来年は横須賀製鉄所の開設150周年の節目や、東京湾要塞跡(猿島と千代ヶ崎の両砲台跡)が国史跡の指定となることが見込まれており、観光面の明るい話題が多い。また、平成24年度には市内観光客数が約820万人を突破。昨今のサブカルチャーブームの影響もあって来訪者は年々増加傾向で、観光振興への機運が高まりつつある。市はこれらを追い風に”観光都市”実現に向け、本腰を入れる。
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