エリア限定「ご当地カード」
横須賀市は、現金不要で買い物ができる電子マネーの実証実験にこの秋にも乗り出す。「ご当地カード」と名付けたエリア限定のプリペイドカードを発行して、利用状況などを調査する。カードは額面20%のプレミアムを付けて販売、地域経済の活性化も狙う。市は導入する商店街の意向調査をすでに実施しており、衣笠と北久里浜の両商店街が前向きな姿勢を見せている。
電子マネーは、決済手段の一つとして普及が進んでいる。カードは鉄道系、小売店系などがあり、買い物金額に応じてポイントが付与されるものもある。現状での利用は大手に限られているが、時代の潮流に乗り遅れまいと、市は商店街支援の一方策として実証実験を行う。
計画では、11月中旬ごろに1万2000円分がチャージされたカードを1万円で販売。2〜3カ月間の利用状況を調査して、商店街に今後の導入などを検討してもらう。今回の事業は、国の地方創生交付金を原資に予算として3000万円を計上、2500枚の発行を予定している。
カードの発行会社は、プロポーザルで三菱UFJニコス(株)に決定しており、各店に設置する端末の費用は市が負担する。実証実験期間中、金額を積み増すことはできないが、商店街が継続利用する場合はチャージ機能のほか、ポイント付与の仕組みを設けることができる。
地域限定の電子マネーの可能性について市の担当者は、「顧客の囲い込みが可能で、チャージ分を確実にエリア内で流通させることができる。財布の中の小銭を探す必要がないため高齢者の利便にも寄与するほか、訪日客が両替なしで利用できるといったメリットがある」と説明。これに加えて、カード履歴から消費動向を把握するためのデータ収集もできるとしている。
実証実験への参加を意思表示している衣笠商店街では、パスモ・スイカと連動させた既存の商店街ポイントカードのシステム契約が来春で終了する。「(今回の実証実験を)次期システム導入のテストに位置付けている。利用できる店舗数が鍵となるため、協力店を広く募っていく」と商店街関係者。
これまで統一のポイントカードや共通サービスの仕組みを持っていなかった北久里浜商店街振興組合では、最先端の機能を持ったカードシステムの導入に前向きな考え。「各店のネット環境の有無などインフラの整備に課題はあるが、せっかくのチャンスを逃す手はない」と若手役員は話している。
2008年からイオングループが発行するワオンカードを、地域の商店街でも利用できるようにしている久里浜商店会協同組合は、「大手と地元の個店が連携した独自の地域通貨のモデルを実践している」として、今回の実証実験の参加を見送っている。
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