横須賀市教育委員会が今年8・9月に行った「中学校の昼食に関するアンケート」の結果が、このほど明らかになった。中学校の生徒と教職員、小・中学校の保護者、市民を対象に調査したもの。希望する昼食の方式について、小・中学校保護者の7割が「小学校のような給食(完全給食)」を支持。市では、このアンケートと昨年度3回実施した「スクールランチ」の施行結果などをもとに、今後の昼食のあり方を「総合的に検証する」としている。
市立中学校での昼食は、「持参弁当(+牛乳)」もしくは、「当日注文の業者弁当・パン」というのが現状。市では注文弁当「スクールランチ」の充実に向け昨年度、計3回の試行事業を行った。注文率の低迷、提供事業者確保などの課題や、完全給食を求める声が高まっていることから、市教育委員会は、昼食ニーズの現状把握と希望する昼食方式に関する意向、実施した場合の影響を調査。中学校生徒(全23校の1クラス)と小・中学校保護者、全教職員と無作為に抽出した市民を対象に、4081人から回答を得た。
家庭の負担感強く
「希望する昼食方式」の設問については、「小学校のような給食」を選んだ小学校保護者は76・5%、中学校保護者は66・4%と、7割以上が支持する結果となった。「完全給食実施の可否」についても、小中保護者の半数以上が「実施すべき」と答えている。
その理由として、栄養面や適温での提供、衛生面での不安が少ないことなどを挙げている。また、弁当作りに関して、中学校保護者の7割、小学校保護者は9割近くが、「負担に感じている(今後そう思われる)」と答えている。ただ、現状では9割以上が毎日、弁当を持参していることもあり、「普段食べ慣れている(好き嫌いに左右されない)」「盛り付けや後片づけに時間を取られない」などの理由から、生徒側では現状を支持する傾向が見られる。
「昼食を食べられない」
アンケートでは、教職員側から見た「昼食」の実情と課題も明らかになった。学校内では「パン注文が続くことへのからかい」「注文での金銭トラブル」など生徒間の問題も生じている。加えて、「弁当代をお小遣いにしている」「親に作ってもらえず、自分で詰めている」「弁当を隠しながら食べている」といった事例もあり、用意できない生徒へは、教職員が昼食を分けたり、パン・弁当等を購入―といった対応をしているという。
また、設問の中で「昼食時間に何も食べないことがある」と回答した生徒がいたため、市立中全ての学級担任に対して急遽、追加調査が行われた。「(年2回以上)昼食を用意できない」という生徒が51人。そのうち6人が「毎日」と答えたことが明らかになった。
この結果について、市議会教育福祉常任委員会では「昼食が取れない生徒がいることは喫緊課題」「経済的な理由で食べられない状況を改善できる方策を」と意見が上がった。完全給食を実施した場合、準備や後片付けの時間調整などを負担と考える教職員の回答が多かったが、一方でバランスのとれた昼食が「生徒の健康保持・増進につながる」だけでなく、生徒間の格差解消という期待もある。
今後の動きについて、市教委では「これらのアンケートとスクールランチの結果検証など論議を尽くして、方向性を決めていきたい」と話している。
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