先月17日、市議会での施政方針演説で吉田雄人市長は、「中学校の完全給食を検討する」と明言した。具体的には、6月までに教育委員会で検討し、市長を含めた総合教育会議(7月)に諮り、実施の方向性を定めていくというもの。これに対し、25日から行われている市議会本会議では、導入スケジュールや実施方式に踏み込んだ質問が相次いでいる。
市長、方針改め前向き姿勢
昨年夏、市教育委員会が実施した「中学校の昼食(給食等)に関するアンケート」で、希望する昼食の方式を「小学校のような給食」と答えた保護者は、7割を占める結果となった(小学校76・5%、中学校66・4%)。市民団体の署名活動・請願など、「完全給食」を求める声の高まりに加え、計3回のスクールランチ試行での課題もあった。
これらの状況から「弁当を作ることの負担感や、完全給食へのニーズの高さを感じた」と吉田市長。優先度が高い事業だという認識を示し、「(完全給食の実施は)子育て世代の負担軽減と、居住満足度向上につながる。この世代を呼び込むためには重要な施策のひとつ」と話した。さらに「栄養面に配慮した昼食を提供することが生徒の成長、食育の観点でも意義がある」と前向きな姿勢を見せた。
スピード感求める
具体的には、6月までに教育委員会内部で検討、課題を整理し、7月に行う総合教育会議で今後の方向性を決定する方針だという。これに関して、先月25日の市議会で公明党の石山満議員は「まずは、実施方式や現地調査をしたうえで、どれが最適か、どのように導入できるのかを検討すべき」と意見を述べた。「中学校の昼食の在り方検討の事務費」として来年度予算に計上されているのは6万円。「早急に検討をすべきとの認識なら、スピード感を持って対応してほしい」と迫る場面もあった。
市としては、教育委員がアンケート結果などを精査し、考え方をまとめたうえで協議することを優先。吉田市長は「具体的な方向性が決まれば、再来年度の予算を待たずに補正予算等の対応も考えていきたい。早い段階でできる検証作業は、教育委員会内部でも行ってもらいたい」と話すにとどまっている。
完全給食導入
実施方式の選択も議論
開会中の市議会では、完全給食の「実施方式」に踏み込んだ質問もあった。
市は、他都市を参考にした方式別の経費を試算している。小学校のような完全給食で、新たに中学校内に給食室を作る「自校方式」の初期整備費は約96億円、新たに給食専門の施設を作り各校に配送する「センター方式」は約71億円、さらに近隣小学校の給食を拡張し、配送する「親子方式」は約44億円と試算。保護者が負担する給食費は1食あたり300円程度を想定している。弁当箱タイプの給食「ボックスランチ」の場合、整備に約3億円かかると見込む(注文率50%と設定)。これにそれぞれ約4〜6億円の年間運営費が加わる。財政面の負担の拡大を理由に、市は結論を先延ばしにしてきた形だが、これまでの議論でも「各種の補助金・交付金や財政調整基金など検討の余地はある」などとの意見も出ている。議会内では、自民党が「親子方式」を提案。来年度全校実施する川崎市では、自校調理とセンター方式を併用していることもあり、公明党は、この「組み合わせ方式」を勧めている。
市議会ではほかにも、中学校での昼食時間が15分程度となっている現状について、青木哲正議員が質問。給食実施の場合には配膳など時間がかかることをふまえ「食育の観点でも、早急に改善すべき」と質した。
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