国の指定史跡となっている千代ヶ崎砲台跡(西浦賀6の17)の保存活用に向けて、横須賀市が準備を進めている。明治時代後期に整備された弾薬庫や塁道が良好な状態で残っており、貴重な戦争遺跡を観光資源として利用していく考え。来年度は月に1回程度、市民向けに特別公開を行うほか、同砲台跡を含む東京湾要塞全体の保存活用計画をまとめる。
完成度高い砲台構造
千代ヶ崎砲台跡は灯明堂近くの丘陵地に位置。東京湾口の防御を目的に明治28年に築かれている。江戸時代の平根山台場跡でもあり、沿岸防備の重要拠点となっていた。
観音崎・猿島など、同様の砲台群を一括りにした東京湾要塞の中でも千代ヶ崎は後期のもので、雨水の侵入対策に焼過煉瓦が採用されているほか、天井部がコンクリート造になっている。雨水をろ過して生活用水とするための貯水排水システムも特徴的で、近代建築・土木技術の発展過程が見て取れる。
同砲台跡は戦後、海上自衛隊が通信施設として使用
していたため、立ち入りが制限されていた。現在も土地の所有者は防衛省だが今後、所管替えが行われ、横須賀市が文部科学省から管理団体として指名を受ける見通し。時期に関しては未定となっている。
初の一般公開参加定員の2倍
昨年3月10日に国の指定史跡を受けてから1周年を迎えたことにちなんで10日、初の一般公開ツアーが行われた。平日の開催にもかかわらず定員40人に対して2倍を超える申し込みがあり、関心の高さを示した。
NPO法人横須賀シティガイド協会が案内役を務め、見どころや歴史的な経緯などを解説。好評を博した。今後もツアーガイドを手掛けていくという。
ただ一般公開に向けては、トイレの設置や駐車場の確保などの課題も抱える。見学者のための安全対策も必要となり、市は段階的に整備を行っていく方針。来年度は東京湾要塞のパンフレットを作成して市民周知を図るほか、保存活用に向けた計画を策定する。
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