久里浜「パル美容室」藤原さん 戦争体験の軌跡 一冊に 自分史を自費出版
半年間かけて170ページにも及ぶ作品を仕上げた。「書き終わってしまうのが寂しかった」と75年間の自分史「心のアルバム」(文芸社)製作を笑顔で振り返る。
藤原テルさん、76歳。現在も京急久里浜駅前で「パル美容室」を営んでいる現役美容師だ。
「日記も書いたことがない」と話すほど、文章を綴る経験はほとんどなかった。今回執筆に至ったのは「自分が体験してきた戦争を孫や他人に伝えたかった」ことが大きな理由の一つ。
ちょうど物心がつき始めた頃、戦禍は激しさを増していた。叔父を亡くしたショックや、毎日少量のおじやばかり食べていた記憶は鮮明に残っている。終戦後も物不足で配給に長時間並び、必要な物資を補給していた。「当時の辛さを伝え、平和な現在の素晴らしさを感じてくれれば」としみじみ語る。
本の中では他に、出身地の新潟から集団就職をして、東京の4畳半の部屋から美容師を志した経緯から、夫と行った東北旅行の思い出など、私生活面も赤裸々に書かれている。発売してから、共感の思いを書いた手紙や花が贈られてくるなど周囲の評判も上々だという。「良い思い出になった。記憶を思い出すことで、脳の活性化にもつながったように感じる。お店に来る常連客にもすすめてあげたい」と話す。
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1000部を発行している。同店(久里浜4の5の2)で直接購入することも可能。値段は1000円(税抜)。
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