横須賀市教育委員会は、先月の定例会で「中学校選択制」に関する検証結果を報告し、これを廃止する方向性を示した。2004年から市内を6地区に分けて、就学指定校と同じブロック内の中学校を選択できる方式を採用。学校規模の偏りや安全面などの課題もあり、昨年から検証会議を行っていた。市が小中学校の学びの連携を強化する中で、制度が現状にそぐわないという側面もあった。
この春、他学区の中学校を選んだ生徒は対象者3610人のうち、約10・9%にあたる395人となっている。同制度の開始以降、その割合は約9%前後で推移。全校実施から10年以上経過したことから、今後の在り方を検証、先月の教育委員会定例会で「廃止」の方向性が示された。
選択制の導入目的は、保護者や児童の学校への関心や理解を高めることと同時に、学校側の活性化も促すもの。しかし、対象の児童・生徒と保護者に行ったアンケートの選択理由で多かったのが「部活動」「仲の良い友人と同じ中学に」というものだった。「学校の特色ある活動」「伝統・校風」を選んだ人は少数。当初の目的から実態が変化している状況も明らかになった。また、災害時の安全対策に関して、学区外生徒の帰宅方法や、家庭訪問・生徒指導の広域化なども指摘されていた。
小規模校で生徒減少
学校規模の偏りも課題となっている。導入当初は、小規模校(3〜11学級)の生徒数が増加していたが、ここ数年、他学区へ流出する傾向が強まっている。北下浦中学校では学区内就学通知発送者92人に対して、他学区から8人増加したが、30人が他校を選んでいる。昨年度も小規模校9校のうち、7校で他学区を選ぶ生徒が上回っており、生徒数が減少。検証報告書でも、これを「非常に大きな課題」としている。市内で、生徒数が最も多いのは大津中で902人、最少は鷹取中の167人(今年5月時点)。学校規模の偏りは、学級編成や教職員の配置、部活動など新たな問題も生んでいる。
横須賀市が今年度から全校で進めている「小中一貫教育」の影響も大きいとされる。通学区域を共にする小・中学校で9年間を一体として、学びの系統性・連続性を重視し、小中の教職員が協働して教育の充実を図るもの。だが、現状の選択制では最大で9校から選べる地区もあり、学校が地域の繋がりを重視する中で、現状にそぐわないという指摘もあった。
来年度入学の児童に関しては、制度を継続する方針で、今後は教育委員会内部で周知の期間等を検討していくという。
|
<PR>
横須賀版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|