横須賀市立市民病院(長坂1丁目)=写真=では、治療を終えて病状が安定した患者に対して在宅復帰に向けた医療や支援を行う「地域包括ケア病棟」を10月から新たに開設する。市内では衣笠病院(小矢部2丁目)などに次いで3例目。高齢者人口が増加し、病床の不足が見込まれている中、回復期患者の受け皿を充実させる。
高齢者が住み慣れた地域で最期まで暮らせるように国は、「医療・住まい・介護・生活支援・介護予防」の5つを一体的に受けられるサービスが必要とする方針を掲げており、その支援体制を地域包括ケアシステムと呼ぶ。横須賀市でも推進しており、今回の取り組みは「医療」分野における同システム構築の一環。
新病棟は2007年2月から休棟していた東棟4階を活用する。それまでは脳外科や整形外科などの病棟だったが、看護師の人員不足などを理由に閉鎖されていた。そのスペースを改装し、個室を2部屋、4人部屋を8室、合計34床を新たに開設する。看護師や理学療法士など約20人体制のスタッフで対応。主な受け入れ患者は、手術などの処置を受けて危機状態を脱し、在宅への復帰を目指す回復期の高齢者らを想定している。平行棒などがあるリハビリルームを設置し、歩行や食事など、日常動作の訓練をしていく。同病院の担当者は「治療から退院までの期間が長くなり、体力を戻す余裕ができるので患者の負担は軽くなる」と最長60日間入院できる新病棟の利点を話している。
病床数「少」が背景に
地域包括ケアシステムの構築を進める中で、問題となっているのが回復期患者の病床不足。県が算出した横須賀・三浦構想地域(横須賀市・三浦市・逗子市・鎌倉市・葉山町)における2025年での回復期の必要病床数は1913床=表参照。しかし2015年時点では389しかなく、特に横須賀市は高齢化率が29・3%(2015年10月時点)と全国平均より約2・5%高いこともあり、病床の確保は急務だった。この状況を踏まえ、市は今年度予算に約1億4千万円を計上し、同病院に地域包括ケア病棟を新設する。
開設後は院内の他病棟や、近隣病院からの患者も受け入れる方針だという。
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