江戸湾海防のため、1843年に川越藩の手で、現在の大津町3丁目付近に建てられた大津陣屋。今年4月、行政センター新築移転を記念して、復元模型が地元住民から寄贈された。これに対し市は今月8日、製作者の山田勉さん(根岸町2丁目)と、企画した市民団体「横須賀Cアカデミー」の杉本幸三代表=人物風土記で紹介=に感謝状を贈呈した。
現在、大津陣屋の遺構は大津中学校正門脇に移設した石橋のみ。当時は、御殿・稽古場・長屋・馬場などが壮観に立ち並び、多い時には近隣の砲台を含めて、1500人近くが配置されていたという。
「海防の要所だったかつての様子を再現できないか」と杉本さんが、3年ほど前から模型づくりを計画。地域ボランティアなどで顔を合わせていた山田さんに依頼した。外観図など残されていた資料や同時代の建物様式を参考に製作。大きさは実際の200分の1。ヒノキの一刀彫で、細部のジオラマにもこだわったという。山田さんが入院した際には、妻や娘、孫など家族が総出で手伝い、完成にこぎつけた。
陣屋自体は、25年ほどで役目を終えたが、軍事機密のため当時の資料等は川越藩のほか、のちに防備を担った熊本藩や佐倉藩などに散逸。同団体では、各地に赴き、これらをまとめた展示なども行ってきた。杉本さんは「まだまだ知られていないことも多い。当時の様子を再現した模型や資料の展示で、地元に関心を持ってもらえれば」と話している。
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