横須賀市の上地克明市長は今月14日、2018年度の当初予算案を発表した。一般会計の総額は1554億4千万円で前年度と比較すると97億5千万円の増加。1500億円を超えたのは芸術劇場を建設した1993年度以来で、過去2番目の規模となる。市税は7億5千万円減少したが、事務事業の見直しで20億円を削減。国・県から1億8千万円の補助金を獲得して財源を確保した。昨年の市長選で掲げた海洋都市、音楽・エンタメ、谷戸再生の「まちづくり3構想」に重点配分している。
一般会計 1554億4千万円
市長に就任してから初の予算編成となった。同日に開かれた記者会見で上地市長は、「将来に目を向けた『ワクワク予算』」と命名。市を覆う閉塞感や停滞感を打破するため積極投資を行っていく考えを示した一方で、「バラマキではない」ことを強調した。
経済面では、社会基盤の整備として国道357号の八景島─夏島間の早期開通をめざす。南下延伸についても、関係機関との調整を図りながら産業発展に寄与するルート選定を急ぐ。港湾の利活用では、久里浜港を「みなとオアシス」として、国土交通省へ登録申請。地域振興を図るための交流拠点に位置付ける。食の分野では、佐島地区の活性化に力点。農漁業者が6次産業に取り組むための後押しをする。
谷戸再生では、空き家に創作活動を行う芸術家などを誘致するモニター事業を実施。新たな地域コミュニティづくりを模索する。
厳しい財政事情の中でも、子育て支援・教育環境は充実させる。計画が棚上げ状態となっていた(仮称)「中央こども園」の整備は、新港町の市有地を活用して、子育て支援機能を持つ拠点施設として開設する方針。年収約360万円未満相当の世帯について、幼稚園と保育園などの保育料・園児世帯の負担額を無償化していく。
福祉では、認知症高齢者に対する支援を拡充。早期相談、早期対応の仕組みの構築として、認知症初期集中支援チームによる体制を強化。リビング・ウィルの啓発など、「終活」支援も充実させる。
歴史や文化に着目したにぎわい再興にも力を入れる。住友重機械工業から寄付を受けた西浦賀(浦賀奉行所跡地)の土地利用の方針を策定するほか、軍港資料館の中核拠点として、ヴェルニー公園内にティボディエ邸を再建して活用を図る。久里浜海岸のペリー記念館の展示内容のリニューアルも行う。
まち活性に「音楽の力」
新年度予算案で「上地カラー」を色濃く打ち出しているのが音楽をツールにしたまちの活力づくりだ。
芸術劇場の運営者である横須賀芸術文化振興財団や音楽企業と連携して、有望なミュージシャンを発掘・支援して売り出す「メジャーデビューオーディション」を実施する。街なかに音楽ステージを設けて、若手アーティストたちに演奏機会を提供する「ストリートライブ」事業も推進。横須賀中央地区で実証実験を行い、将来的には市内4地区での展開を構想している。
これらの関連予算として1352万7千円を計上している。
|
<PR>
横須賀版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|