地域経済の担い手である「かながわ信用金庫」の動きが活発だ。66期連続黒字と堅調な業績を背景に、昨年は事業者や生活者が抱える困りごとに直接応える相談専門拠点を大滝町の三笠ビル商店街内に開設。事業承継サポートの専門会社やスマホ決済の会社と業務提携を結ぶなど、社会情勢の変化にも敏感に反応している。新年の経営方針を平松廣司理事長に聞いた。
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─政府が「いざなぎ景気」越えを発表しましたが、地域経済の状況をどのように捉えていますか。
「輸出関連や大企業を取引先としている企業を中心に業績は回復局面にあると言えます。その一方で先行きに不安を感じている経営者は少なくなく、設備投資や新規出店に慎重な姿勢が伺えます。後継者問題を抱える中小企業が増えているのも事実で、景気のよさを実感できない要因となっています。当金庫としては、中小企業診断士の資格を持つ職員を育成し、取引先に寄り添う伴走型支援の強化を図っています。事業承継を専門領域とするトランビとも業務提携を結び、多角的なサポートを行える体制を整えました」
─身近な相談窓口としである「かなしんよろず相談承り処」で、平松理事長が経営論を語るセミナーがありました。
「『日本の資本主義の父』と称される渋沢栄一の思想と行動を学ぶ内容です。渋沢の著書『論語と算盤』で説いている道徳と経済のバランスは、言い換えれば正義ある儲け。現代の問題にも通じる普遍的なもので、私自身の考えと合わせて発信しています。今年は新しいカリキュラムを組んで横浜・藤沢でも展開していく考えです」
─金融機関のビジネスモデルは変革期にあるようです。キャッシュレス時代が本格化しつつあります。
「インバウンド需要に支払いの簡略化など、スマホ決済はこれから普及していくでしょう。当金庫では、オリガミと提携し、『オリガミ・ペイ』の地域開拓を進めています。小売店や飲食店の販売拡大につながるアドバイスをセットにした信用金庫ならではの提案をしていきます」
─横須賀経済再興の鍵を握るYRPで新しい動きがありました。
「携帯電話開発の次のビジネス構築が課題となっていました。その旗印となるのが自動運転や高齢者の移動サポートなど『スマートモビリティ』と呼ばれる分野です。産官学一体で推進していきますが、地元の中小企業が置き去りでは、本来の地域活性は実現しません。横須賀商工会議所会頭としても働きかけていきます」
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