全国的に増加傾向にある小・中・高の不登校。神奈川県教育委員会が公表した「2017年度神奈川県児童・生徒の問題行動等調査」の調査結果によると、横須賀市内では市立小・中学校の児童・生徒1千人に対する不登校者数が24・8人と2位の相模原市を4・3人上回り、県内で最も高い数値となっている。「誰も一人にさせないまち」としてこの課題に取り組む市内の現状と、支援の在り方を探った。
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不登校とは病気や経済的理由を除き、何らかの心理的、情緒的、身体的、社会的要因・背景によって年間30日以上学校へ通えていない状況を指す。理由は勉強や人間関係など、個々が置かれた環境によって要因が複合的に重なり、多岐にわたる。横須賀では17年度の調査において市立小学校で160人、中学校で548人が不登校と把握されている。
こうした事態に対して、市教育委員会支援教育課の担当者は「不登校は誰にでも起こり得ることで、それ自体は問題行動ではない。本人を孤立させず、辛い気持ちに耳を傾けて寄り添い、今後社会と繋がるための指導や支援を続けていくことが大切」と話している。学びの場を学校だけに限定しない、とする柔軟な姿勢だ。現在は市内の小・中5校に社会福祉士などが相談に応じる教室が設置されているほか、不登校者の社会的自立を支援する民間NPO法人が運営するフリースクール「アンガージュマンよこすか」と「湘南国際」と連携、情報共有をするなどして児童・生徒のサポートと居場所づくりに取り組んでいる。このほかに、不登校を防ぐ手立てとして「授業・絆・居場所づくり」を指針に掲げ、学校の魅力向上にも力を入れている。
フォーラムで情報共有
今月22日に本町の総合福祉会館で、不登校をテーマにしたフォーラムが開かれ、荒天の中100人以上が来場。当事者家族や学校関係者の姿が多く、熱心に耳を傾ける姿が見られた。
会場では相談教室や民間フリースクール担当者が集まり、日々実践している児童や生徒との接し方や不登校への考え方などを語った。また市内出身の不登校経験者で、現在は県立釜利谷高校で養護教諭として勤務する水上杏実さんもゲストとして登場。未就学児の頃から人と話すのが苦手だった水上さんは、小学5年生時から登校が難しくなった。当時を「自分が周りからどう思われているかと考えるようになり、日々不安が大きくなっていった」という。その後地域の相談教室の存在を知って通い始め、学校との併用通学を開始。中学で再び不登校を経験し、高校に入ってから徐々に周りと話せるようになっていった。「環境を変える度に新しい自分で頑張ろうと思えた。理解してくれる周りの支えもあり徐々に安心感が出てきた」と振り返った。
相談教室の相談員を交えた座談会では、当事者家族から子どもとの接し方や将来への不安など、抱える悩みを互いに話し合った。相談員からは「低年齢化・発達障害、ネット依存が最近のキーワードでは」という声も上がった。
不登校とネット依存の関係性
不登校の要因として近年、指摘されているSNSやスマホゲームなどの”ネット依存”は世界保健機関(WHO)によって昨年、医師の診療に使用する「国際疾病分類」に「ゲーム依存」として加えられ、病気として認められた。「インターネット依存専門治療外来」を開設している久里浜医療センターの樋口進院長は、著書「スマホゲーム依存症」(内外出版社、2017年)の中でスマホ普及を背景に「3年ほど前から状況が一変」と指摘。現代の高ストレス・低希望社会において、スマホゲームは手軽な現実逃避手段で依存性が高いものとしている。
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