新型コロナウイルスの感染拡大防止対応を受け、横須賀市内の教育機関で一斉休校の措置がとられる中、子どもたちの過ごし方や居場所確保に一役を買おうと、個人や団体が独自の活動を始めた。給食の中止で未利用となった食材を有効活用して、昼食の弁当を無償提供する動きもある。大人数の宴会や会合のキャンセルが相次ぐ飲食店も、あの手この手の対抗策で苦境を乗り切ろうと必死だ。それぞれの取り組みをまとめた。 【3月10日起稿】
農園開放、昼食も提供
大楠山のふもとにある青空食堂「SYOKU―YABO農園」(芦名2の1717)では、今月5日から休校中の児童や生徒たちに居場所の提供を始めた。学校が再開するまでの平日に限り、午前10時から午後4時まで園内を開放して自由に過ごしてもらう。学校給食が貴重な栄養摂取の機会となっている子どもたちが多数存在していることも考慮してバランスの取れた「まかない昼食」も用意、無償で振る舞っている。初日となった5日はカレー40食を提供したという。
取材に訪れたこの日は、集まった子どもたちが山を駆けめぐったり、芝生の上で読書をしたりして自由に楽しむ姿があった。退屈させない工夫として、農園スタッフが森に落ちている小枝や枯れ葉、廃材などを使って工作を楽しむワークショップも開いていた。
大楠中学校に通う1年生のグループは、午前中に各自が自主学習を済ませて農園にやってきた。ひとりの生徒は、「ゲームで部屋にこもりきりになる人もいるようだが、
自分は外で遊びたい。友達とも話がしたい」と笑顔を見せた。
同農園の円城寺優子さんは、「学校が始まるまでのしばらくの間、できるサポートをしていく」と話し、継続していくためのボランティアスタッフ、食材や子どもたちが遊びに使える資材などの物資提供を呼びかけている。開園情報などは同農園のフェイスブックページで発信。
問い合わせは【メール】syokuyabo.yuko@gmail.com
自習や読書の空間に
これまで不定期開館だった子どものためのフリースペース「衣笠駅徒歩1分図書館」(衣笠栄町2の66)は休校で行き場に困った児童や生徒のため、3月末までの毎週火・水・木を定期開放し始めた。絵本や漫画、図鑑などの蔵書を自由に読むことが出来る。自習スペースとしても利用可能。毎週木曜日はコマの絵付けといったワークショップも実施。運営者の北川幸子さんは「子どもたちの居場所の選択肢の一つとして役立ててもらえれば」と話す。
午前10時から午後6時(19日は5時)、25歳以下は無料。詳細はフェイスブックページ「衣笠駅徒歩1分図書館」。
ウェブ上で筋トレ紹介
横須賀市は、開講予定の各種介護予防講座を6月まで中止としていることから、市のホームページ上で「WEB介護予防教室」を開設した。
外出する機会が減ることでの運動不足解消のため、下半身の筋トレや低栄養予防などの項目を市職員がまとめた。室内で身体を動かすヒントなども盛り込んでいる。介護予防をクイズ形式で学ぶ動画も見ることができる。市担当者は「高齢者だけでなく子どもや在宅ワークの人なども、時間の合間にやってみてほしい」と話している。
”おひとり様メニュー”で対抗
横須賀中央の居酒屋「やんちゃ家」(若松町1の12)では、来店自粛が相次ぎ、3月と4月の宴会予約のほとんどがキャンセルとなった。窮余の策として大人数向けメニューを1〜2人用にアレンジした「小さいサイズメニュー」を用意、少人数客獲得に力を入れている。店内で花見気分を味わってもらおうと、桜の造花で”春らしさ”を演出するなどして来店を呼び掛けている。
いちご狩り客の減少に苦しむ津久井の農園と提携し、新鮮さを売りにした「生いちごサワー」の販売を開始した。「互いの困りごとを共有している」と同店オーナーの山中敏行さん。連携することで現状打破を図ろうとしている。
給食食材を弁当に
小学校の臨時休校に伴い給食が休止していることから、横須賀市では食材をNPO法人神奈川フードバンク・プラスに提供した。同法人へは、給食休止を受けて納入業者から相談があり、市教委にも確認。生鮮食品は生産者からの出荷調整や冷凍などで対応できたものもあったが、冷蔵品については賞味期限などもあり、フードバンクに提供されることになった。
食材はハムや鶏肉、チーズ、中華乾麺、豆、凍り豆腐、味噌。同法人では受け渡し先を検討し、子ども食堂のよこすかなかながや(池上4の5の11)に提供している。「なかながや」では昼食(弁当)の無償提供を今月5日から開始。10日は、これらの食材を使った煮豆などのおかずを弁当に入れている。予約制で1日あたり約50食作っており、近隣の学童保育からの受け取りもあるという。
「室内遊び」動画でおすすめ 2児のママがYouTubeで発信
浦郷町在住の「みうらん」さんは、新型コロナウイルスの影響で室内で過ごす時間が増えた親子に向けて、家にあるものでできる室内遊びを実践した動画を配信サイト「YouTube」で発信している。
動画では、新聞紙をビニールで包んだボールを天井からつるしてバットやラケットでたたく遊びや、廊下の壁にテープの障害物を作り、体に張り付かないように通る遊びなどを紹介している。インターネットから集めた遊びを2歳の息子と実践。その反応や感想を伝えている。意識しているのは「リアル感」。失敗したり、子どもがすぐに飽きてしまったりする様子も盛り込んでいる。みうらんさんは「子どもと長い時間家にいると、ストレスも溜まってしまう。お金をかけずに、室内遊びでリフレッシュしてほしい」と話す。
動画はYouTubeで「みうらん」と検索。
子育ての気付き共有
みうらんさんが動画投稿を始めたのは昨年の12月。自身の出産動画をYouTubeにアップしたところ、多くの人から反応があった。動画は現在までに23万回再生を記録。「小さい子どもをもつ親御さんに向けて、自分の気づきや悩みを共有・発信したい」と本格的に投稿を開始した。
みうらんさんは、追浜を中心に活動する子育てサークルOppapamamaile(オパイル)に参加。ウェブ上での情報共有やイベントなどを開催している。
「横須賀カルタ」 ジモト学ぶ知育玩具
横須賀が誇る歴史や文化などを46句にうたったご当地カルタを手掛けた「横須賀カルタ製作実行委員会」では、子どもたちの臨時休校中の過ごし方として、カルタ遊びを提案している。「地元を深く知るとともに言語力、記憶力、反射神経の訓練になる」と同実行委員会メンバーの岩堀達也さん。コロナ禍が終息した後に、大きな会場でカルタ大会の開催を計画しており、「みんなが集まれるようになるまで、自宅でカルタの腕を磨いて」と呼び掛けている。
横須賀カルタ=写真=は、定価1500円。若松町の「YYポート横須賀」、稲岡町の「記念艦三笠売店」ほかで販売中。メールでも購入を受付けている。【メール】yokosukakaruta@gmail.com
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